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企業努力では越えられぬ“反日の壁” 国内自動車、我慢の状態続く

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企業努力では越えられぬ“反日の壁” 国内自動車、我慢の状態続く

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 中国自動車工業会によると、これまで新車販売台数で2~3位で推移していた日本ブランド車のシェアは、9月に米国系に抜かれて4位に後退、10月には韓国系にも逆転されて5位に転落した。現地ではこれといった有効な挽回策が見当たらず、「反日デモ以前の水準に回復するのをじっと待つ」(国内大手自動車の幹部)しかない状態が続く。

 国内自動車各社は、販売が好調な北米やインドネシアなどに経営資源を集中させる動きを強めており、これによって中国の販売の落ち込みも補う思惑だ。

 だが、「中長期にみても重要な市場であることには変わりない」(トヨタ自動車の豊田章男社長)と、中国事業にブレーキをかける気配はない。

 世界最大の中国自動車市場は、2011年の新車販売台数で、日本と米国の合計販売台数を上回る1850万台を記録。拡大を続ける市場は、「将来2500万~3000万台までいくと思っている」(富士重工業の吉永泰之社長)との見立てもあるほどで、成長戦略に欠かせないからだ。

 日本ブランド車を狙った激しい反日デモの襲撃や不買運動の影響で、各社とも新規投資には慎重姿勢をみせているものの、今後とも「潜在需要を尊重して継続的に新車を投入していく」(ホンダの岩村哲夫副社長)スタンスを貫くとみられる。

 もっとも、自動車担当の証券アナリストからは、中国ビジネスについて「(尖閣問題を)負の遺産として引きずるリスクがある」などと悲観的な見方も出ている。「市場としての魅力はある」(日産の志賀俊之・最高執行責任者)が、企業努力では越えられない反日の壁に、国内各社の我慢は続きそうだ。(飯田耕司)

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