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LTE速度でソフトバンク“独り勝ち” ドコモは一度つながれば安定感抜群
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ソフトバンクの「iPhone5」 調査会社のICT総研(東京都千代田区)はこのほど、携帯電話大手3社のスマートフォン(高機能携帯電話)を対象に次世代高速通信「LTE」の速度実測調査の結果を公表した。
全国200地点で計測した結果、携帯電話にデータを受信する「下り」、送信する「上り」とも平均速度はソフトバンクモバイルが首位となり、以下KDDI(au)、NTTドコモの順だった。受信できる地点数もソフトバンクが最も多く、“独り勝ち”状態となった。
調査は10月22日から31日まで実施。札幌市から福岡市まで、無作為抽出した商業施設や住宅地、官公庁、学校、駅など200地点で、下り・上り双方の通信テストを3回ずつ行い、平均速度を算出した。
計測には、一定時間内にサーバーとやりとりしたデータ容量から速度を割り出すアプリケーション(応用ソフト)「RBB TODAY SPEED TEST」を活用。携帯端末はソフトバンク、auが米アップルの「iPhone(アイフォーン)5」、ドコモは韓国サムスン電子の「GALAXY(ギャラクシー)SIII」を使用した。
調査の結果、下りの通信速度は全国平均でソフトバンクが毎秒10.79メガビット、auが9.37メガビット、ドコモは7.95メガビット。上りはソフトバンク5.40メガビット、au4.57メガビット、ドコモ1.66メガビットだった。
ソフトバンクの下り速度は全国200地点中97地点でトップ。名古屋、関西、仙台、福岡の各地域で2社を大きく引き離し、首都圏や広島でも僅差ながら一番速かった。上り速度は112地点で首位に立ち、札幌以外の7地域でトップだった。
LTEを受信できる地点数も、ソフトバンクが全国200カ所中180地点でトップ。ドコモの129地点、KDDIの126地点を大きく上回った。
ソフトバンクは9月21日のアイフォーン5発売開始と同時にLTEサービスを始めたが、「急ピッチで通信網を拡大している」(孫正義社長)との言葉が裏付けられた形となった。
一方、3社の中で最多の契約者数を持つドコモは、「利用者が多いため通信容量に余裕がない」(ICT総研の斉藤和アナリスト)とみられ、速度は最も遅かった。ただ「一度つながれば最も途切れにくく、安定感は抜群」(斉藤氏)という。
auはソフトバンクと同じ9月21日にLTEを開始したが、立ち上がりの遅れが否めず、受信可能地点は最も少ない。しかし、LTEが届かず、現在主流の「3G回線」で対応する地域では「安定した速度を見せ、優位性がある」(斉藤氏)。
LTEの本格普及に向けて各社は競うように基地局の増設を進めており、今後、利用者の利便性が増すのは間違いなさそうだ。