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格闘ゲームの雄・カプコン 「ストII」開発の裏でもファイト!

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格闘ゲームの雄・カプコン 「ストII」開発の裏でもファイト!

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 対戦型格闘ゲームの代名詞ともいえるカプコン(本社・大阪市中央区)の「ストリートファイター」は今年、誕生25周年。家庭用ソフトのシリーズ累計売り上げは3300万本を誇るが、成功の裏には社内でのゲームさながらの激しいバトルがあった。(川西健士郎)

 ストリートファイターの歴史は、格闘技をイメージしたゲームセンター用の筐体(きょうたい)(機器のフレーム)を描いた一枚のスケッチから始まった。

 「これができたらすごい」。昭和61年の大型連休明け。開発担当の青木隆さん(63)=現・品質管理部長=の心は躍った。

 デザインやサウンドの担当を集めて構想を練り、昭和62年、ゲームセンター用の「ストリートファイター」が完成。ボタンを押す強弱で、繰り出すキックやパンチの強さが変わる斬新な感覚が話題となった。

 平成3年に、改良版の「ストリートファイターII」が登場すると、あるゲームセンターが複数の筐体をコードでつなぎ、見知らぬ他人同士が対戦できるように設定した。ゲーム界でいう「乱入」のルーツだ。

 ゲーム機の周りには見物客が集まるようになり、全国のゲームセンターから発注が舞い込んだ。

 ところが、操作感覚をより高めた新機能を開発していた開発サイドが契約に待ったをかけた。「操作反応の精度を高めなければ飽きられてしまう。納品は改良版の開発を待ってほしい」

 すでに契約を済ませた営業サイドは猛反発。平成4年2月、賢島(三重県志摩市)の研修所で、話し合いの場がもたれた。両者は激しく対立したが、当時社長だった辻本憲三会長は「開発優先」を決断した。

 「それからは、もちろん徹夜。会社に泊まって帰宅しませんでした」という青木さんらが開発した「ストリートファイターIIダッシュ」は、同年6月には「ストリートファイターII」として家庭用ソフトにもなり、爆発的にヒットした。

 「いま考えても完成度が高いゲームです」(青木さん)というストIIは630万本を売り上げ、開発部門ではボーナスが数倍に跳ね上がった。2年後には念願の自社ビルが完成、「ストII御殿」とも呼ばれた。

 10人程度の格闘家から1人を選んで戦うストIIは、リュウや春麗(チュンリー)といったキャラクターも人気を呼んだ。6年にハリウッド映画化されるなど、人気は世界に広がっている。

 全国大会もほぼ毎年開かれ、今年10月には25周年を記念した全国大会が東京で開かれた。優勝者らは12月に米国で開かれた世界大会でも、世界の強敵を相手に好成績を収めた。

 広報担当者は「格闘ゲームの金字塔として、さらに世界中の人々から愛されるゲームに進化させていきたい」と話す。開発への“ファイト”はまだまだ終わらない。

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