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パナソニック、有機EL発表に会場から拍手が… 「韓国に技術で負けていない!」

ニュースカテゴリ:企業の電機

パナソニック、有機EL発表に会場から拍手が… 「韓国に技術で負けていない!」

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CESのパナソニックブース=8日、米ネバダ州ラスベガス(AP)  【ラスベガス(米ネバダ州)=板東和正】8日(現地時間)、米ラスベガスで開幕した世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。開幕冒頭の基調講演を行ったパナソニックの津賀一宏社長が、56型の有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビを発表すると、会場を埋めた業界関係者から拍手が巻き起こった。

 有機ELテレビは、昨年6月に共同開発で合意したソニーとともに開発。フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4K」にも対応し、津賀社長は講演後、記者団に「韓国メーカーに技術で負けていない」と反転攻勢に向けて力を込めた。

 昨年のCESでは、韓国サムスン電子やLG電子が55型の有機ELテレビの試作品を相次いで発表。年内の商品化まで明言した両社に、パナソニックの大坪文雄前社長は圧倒された。

 大坪前社長が有機ELテレビの商品化を宣言したのはその場だったが、今年のCESで4K対応の有機ELテレビを発表したのは、ソニーとパナソニックの2社だけ。

 昨年もCESに訪れた業界関係者は「わずか1年で別の会社かというほど、状況が変化している」と驚きを隠さなかった。

 津賀社長の自信の裏にあるのは、4K対応で韓国メーカーに勝ったことだけではない。同社によると、パナソニックの有機ELはサムスンなどに比べ、低コストで製造できる生産方式を採用しており、量産化に向けた強みがあるという。ソニーとの共同開発で「有機EL技術の分野で、パナソニックは韓国メーカーを逆転した」(証券アナリスト)との評価もある。

 しかし、LGが55型有機ELテレビを3月に米国で発売するとしたのに対し、パナソニックとソニーは商品化の時期を明言できていない。ユーザーに受け入れられる価格帯や商品の形態について「市場調査が進んでいない」(パナソニック関係者)ためだ。

 ただ、付加価値の高い4K対応の有機ELならテレビ以外の用途にも広がる可能性がある。実際、津賀社長は、高い精度の画像が求められる医療分野などの業務用途から有機EL製品を投入する考えを示している。

 「商品化は急いでやっても意味がない」。そう話した津賀社長の判断が吉と出るか、凶と出るかは、商品化で先行する韓国勢の動向にかかってきそうだ。

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