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自動車大手、円安プラス効果3000億円 国際競争力は一段と高く
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自動車大手7社の2013年3月期業績見通しが8日、出そろった。円高是正が収益を下支えし、7社合計の円安によるプラス効果は約3000億円にまで達する見通しだ。08年のリーマン・ショック後から進めた原価低減などの合理化策を推し進めたことも大きく、国際競争力は一段と高くなる余力を残す。
その一方で、日中関係の悪化で販売が落ち込む中国事業が抱えるリスクや、欧州経済の低迷への対応策に加え、エコカー補助金終了で市場縮小が懸念される国内販売のてこ入れなど、課題も多い。
日産自動車が8日発表した12年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比0.8%増の6兆7551億円、営業利益が18.4%減の3491億円、最終利益は12.7%減の2323億円で増収減益だった。4~12月の世界販売は、米国と東南アジアの販売が好調に推移し、前年同期比6.0%増の363万5000台で過去最高となった。
同日会見した日産の田川丈二執行役員は「輸出は採算が取れるようになった。通期で500億円以上の(円安)効果も期待できる」と述べた。同社は、中国、欧州市場での販売低迷が直撃するが、為替の影響が販売低迷を吸収する見込みで、通期の業績を修正しなかった。
最も円安効果を享受したのはトヨタ自動車。同社は13年3月期の単体営業損益の予想を、従来の200億円の赤字から1500億円の黒字に上方修正。5年ぶりの営業黒字は、1400億円の円安効果に加え、収益構造の改善にこだわった経営を進め、「1ドル=79円でも利益が出せる態勢」(伊地知隆彦専務役員)を作り上げたうえでの達成となった。
円安は、輸出比率の高いマツダが184億円、富士重工業も233億円の恩恵を受けたほか、現地で生産販売する「地産地消」の戦略を推し進めるスズキも、海外で販売する1台当たりの売り上げが、円安で上昇した。400億円の円安効果を受けたホンダも、欧州と中国での自動車販売の落ち込み分をカバーした。
ただ、円安傾向がどこまで続くのかは、不透明なうえ、日中関係の悪化が続く中国市場での販売がどこまで回復するかも不安材料として残る。中国海軍のレーダー照射による両国間の緊張の高まりも懸念で、10日から始まる春節での販売商戦に影響が及ぶ可能性もあり、「予断を許さない状況が続く」(自動車メーカー大手幹部)。
売上高 営業利益 最終利益 世界販売台数
トヨタ 21兆8000(17.3) 1兆1500(3.2倍) 8600( 3.0倍) 885万台(10万台増)
日産 9兆8150( 4.3) 5750( 5.3) 3200( ▲6.3) 508万台(変更なし)
ホンダ 9兆8000(23.3) 5200(2.2倍) 3700( 75.0) 345万台(4万台減)
スズキ 2兆6000( 3.5) 1300( 9.0) 700( 29.9) 274.4万台(変更なし)
マツダ 2兆1900( 7.7) 450( - ) 260( - ) 125万台(5000台減)
富士重 1兆8900(24.6) 1070(2.4倍) 760( 97.6) 72.23万台(7900台増)
三菱自 1兆8100( 0.1) 640( 0.5 ) 130(▲45.7) 101万台(3.4万台減)
※単位は億円。カッコ内は前期比増減率%、世界販売台数のみ前回予想との比較。▲はマイナス、-は比較できず。トヨタはダイハツ工業と日野自動車含む