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威勢よく「アクアの独り勝ち許さない」 トヨタ以外の社長から聞きたい言葉
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販売台数で快走を続ける「アクア」(トヨタ自動車提供) 「社長、今度の車はいかがですか」
「うーん、まあ80点だな」
新車発表会で、こんなやり取りに出くわしたことがある。約20年前、若者に絶大な人気を誇った日産自動車「シルビア」の新モデル。社長がつけた点数に、開発担当者が何ともいえない表情をしていたことを思い出す。
通常の試験ならば、80点は及第点だろうが、新車の評価としてはかなり辛口だ。そんな車にゴーサインを出した経営陣もどうかと思うが、確かに車体が大きくなり過ぎ、デザインも前モデルに比べてインパクトに欠けた印象だった。
社長の評価通り、そのモデルの販売は伸びず、次のモデルを最後にシルビアの車名も消えた。
こんな古い話を思い出したのは、やはり一世を風靡(ふうび)した車が消えたからだ。同じ日産の「ブルーバード」。「ブルーバード・シルフィ」として辛うじて名前が残っていたが、昨年12月のモデルチェンジで「シルフィ」に統一、ほぼ半世紀の歴史に幕を閉じた。
新車は「水物」といわれる。数年のサイクルでモデルチェンジをするのが普通だが、その間に経済情勢やユーザーの好みが変化し、開発当初のコンセプトが発売時には受け入れられなくなることもある。
メーカー側は開発期間を短縮し、そうしたリスクを極力抑えようとしているが、最終的には売ってみないと分からない。
昨年の新車(軽自動車を含む)の販売ランキングをみると、上位10車種のうち、5年前の平成19年にもトップ10に入っていたのは5車種しかない。首位になったトヨタ自動車の「プリウス」も、5年前は圏外。今年はトヨタの「アクア」が独走しそうな気配だ。
国内の新車市場は昨年、エコカー補助金の恩恵で前年比27・5%増の536万台と4年ぶりに500万台を超えた。だが、それでもピークだった平成2年の777万台に遠く及ばず、日本自動車工業会によると、今年は再び500万台を割り込む見通しという。
人気が爆発したシルビアは、同じカテゴリーのホンダ「プレリュード」が大ヒットしていたのをみて、当時の日産社長が「プレリュードの独り勝ちは許さない」と宣言して投入した車だった。
市場を活性化するのは、一時的なカンフル剤である補助金ではなく、何よりも魅力ある新商品だ。「アクアの独り勝ちは許さない」。トヨタ以外の社長から、こんな威勢のいい言葉を聞いてみたい。(副編集長 高橋俊一)