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京セラが発電事業に参入 太陽電池だけのビジネス脱却…その狙いは?
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京セラのファインセラミック応用品事業の税引き前利益 電子部品最大手の京セラが、発電事業に参入する。鹿児島で建設中の同社が参画するメガソーラー(大規模太陽光発電所)が今秋にも売電を開始する計画で、太陽電池の供給から売電までを一貫して行い収益力を高める。発電事業は異業種からの参入が相次ぎ競争が激化しているが、それでも京セラは太陽電池だけを売るビジネスから脱却し、新たな成長に向けた布石を打った。
東日本大震災の津波被害の傷痕が大きく残る宮城県東松島市野蒜(のびる)地区。建物の基礎部分だけを残したままの場所で1月中旬、三井物産が建設するメガソーラーの着工式が行われた。
このメガソーラーは今年10月の運転開始を目指しており、京セラが太陽電池を供給する。同市復興政策班の高橋宗也班長は「被災地区の有効利用をいち早く表明してくれた民間の力は頼もしい」と強調する。
京セラはこれまで、メガソーラーや家庭向けなどに太陽電池を売るビジネスを手掛けてきた。2012年度の太陽電池の生産計画は75万キロワットと、11年度に比べ10%以上の伸びを見込んでいる。
だが、太陽電池は安値攻勢をしかける中国メーカーの台頭で「パネルの価格が壊れた」(京セラの前田辰巳副社長)。価格下落により採算が悪化し、2012年3月期の太陽電池事業は赤字に転落したとみられる。同事業が大半を占めるファインセラミック応用品部門の12年3月期の税引き前利益は、前期比で4分の1以下の65億円にまで落ち込んだ。
そこで京セラは昨年6月の株主総会で、定款の事業目的に発電所の建設や発電事業を追加した。つまり太陽電池を売るだけでなく、太陽電池を使った発電所そのものを手掛けることを決めたのだ。
発電事業の第1弾が、昨年9月から鹿児島市で建設している「鹿児島七ツ島メガソーラー」だ。KDDI、IHIなどと共同出資会社を設立。今秋の完成を目指し、発電した電力はすべて九州電力に販売する。
また、みずほフィナンシャルグループ系リース大手の東京センチュリーリースと太陽光発電による売電事業を共同で始めることも決めた。今後3年間で総額200億円を投じ、国内30~35カ所でメガソーラーを整備する計画だ。
京セラはデジタル家電向け電子部品の不振などを背景に、13年3月期の連結業績予想を下方修正した。
とくに電子部品業界は、米電子機器大手アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の販売増加ペースが鈍化している影響を受けている。
しかし、太陽電池に関しては「国内需要の伸びを背景に、売上高が増加する見込み」(久芳徹夫社長)という。国内では自然エネルギーへの関心の高まりや、太陽電池などで発電した電力を電力会社が買い取る再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が昨年7月から始まったことを機に、メガソーラーが拡大しているからだ。
需要が拡大する国内に集中する施策も奏功し、太陽電池などファインセラミック応用品事業の12年4~12月期の税引き前利益は、前年同期比37%増の99億円と増益を確保した。
京セラはメガソーラーを手掛けることで太陽電池の供給拡大を期待できる。ただし「発電事業自体が収益にどれだけ貢献できるかは未知数」(証券アナリスト)。というのも、拡大するビジネスチャンスを求め、通信大手のソフトバンクなど異業種からの参入が相次ぎ、競争が激化しているからだ。
それでも京セラが発電事業で見据えるのは、単に太陽電池を供給することだけではない。
例えばスマホ市場で京セラのシェアは低いが、スマホに搭載する電子部品で高いシェアを持つ。技術の裾野が広いスマホを手掛けることで、搭載する電子部品の技術力を高め、他社への販売増につなげているのだ。
メガソーラーも同様だ。同市場が拡大するのは確実だが、他社との受注競争に勝つには、太陽電池の技術力向上が欠かせない。発電所を手掛けることで主要部材である太陽電池の技術力を高めることも狙っている。
太陽光発電協会によると住宅用太陽光発電システムの設置は累計で100万件を超えており、家庭内のエネルギー消費を効率化する「ホームエネルギー・マネジメントシステム(HEMS)」やインターネットとつながった「スマート家電」と、太陽電池の連携も進むとみられる。
京セラは発電事業への参入を機に、これらの関連分野でも新たな商機を見いだそうとしている。