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ドコモ“省エネ武装”に取り組む ショップ2400店をLED化
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市場が成熟期を迎えた携帯電話業界は東日本大震災後の電力不足を契機に、販売店の省エネ化が重要課題になってきた。業界最大手のNTTドコモは今、全国約2400店の代理店「ドコモショップ」の店内照明の発光ダイオード(LED)化と太陽光パネルの設置による“省エネ武装”に取り組んでいる。
ドコモが店舗の省エネ対策に取り組み始めたのは震災後の2011年度から。社会環境推進部の浅見佐亨環境担当課長が「震災後、地域によって電力が足りなくなったのがきっかけ」と話すように、電力不足という店舗経営にとって切実な問題が全国規模の省エネ対策の引き金になった。
全国規模で進めているのが店内照明のLED化だ。LED電球の寿命は蛍光灯の4倍の4万時間といわれており、ランニングコストを低減できるほか、消費電力も白熱電球の10分の1、蛍光灯の2分の1で電気代も大幅に節約できる。二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、水銀も使わないなど環境保全上も導入メリットは大きい。
LED化は11年度から本格展開、12年度中に1300店の照明がすべてLEDに切り替わる予定だ。さらに、13年度と14年度にそれぞれ500店強ずつ拡大し、全店のLED化を完了させる計画だ。
LED化により「電気代が半分に減ったショップもある」(社会環境推進部の上松遼氏)と予想以上の成果をあげている。ただ、LED照明は通常の蛍光灯より暗いといわれるだけに、導入時には店内に必要十分な明るさを確保することが課題となる。
販売部の百々(どど)大介ブランドショップ担当は「しかるべき照度で接客できるよう、照度設計はしっかりやってきた」と話す。
省エネ武装の“守り”がLED化なら、太陽エネルギーで電力を補う太陽光発電は“攻め”となる。ただ、太陽光パネルの設置が不可能なビル内店舗もあるため、ドコモでは地方の戸建て店舗を中心に14年度中に50店に太陽光パネルを設置する計画だ。
12年度には関東や関西、東北など電力不足が懸念される地域を中心に5店で試験的に設置。稼働実績をみながら13年度に20店舗、14年度には25店舗に設置する。太陽光パネルの発電効率は年々向上する一方で、設置コストは減少しており、ドコモも「(性能向上の)途上にあるシステムなので様子をみながら導入していく」(浅見氏)方針だ。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術開発目標によると、現在十数パーセントに過ぎない太陽光パネルのエネルギー変換効率は17年に20%、25年に25%、50年に40%に引き上げる計画。ドコモも「14年度までで当面の対策は終了するが、今後も導入拡大を検討していく」(上松氏)考えだ。
12年2月14日に開店したドコモショップ佐野西店(栃木県佐野市)では、屋根と壁面に太陽光パネルを張り付け、発電量は平均37キロワット時に上る。
運営するメディアランド・ウイング(群馬県桐生市)の小島勝俊営業部長は「月約10万円を売電している。LED化したこともあり店内照明の電力料金はすべてカバーしている」と話す。
今の時期で総電力料金の30%以上、夏だと50%以上を太陽光発電で稼ぐという。「想定以上の効果」(小島氏)を目の当たりにし、同社が運営するドコモショップ8店のうち戸建て5店舗に太陽光パネルを設置することにした。(芳賀由明)