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「軽」3強に挑む日産・三菱自連合 共同開発モデルの死角は?

ニュースカテゴリ:企業の自動車

「軽」3強に挑む日産・三菱自連合 共同開発モデルの死角は?

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日産自動車の「DAYZ(デイズ)」と志賀俊之最高執行責任者=6日、東京都渋谷区  軽自動車の新車販売に占める割合が4割に迫るなか、日産自動車と三菱自動車は共同開発という新たな協業で、ダイハツ工業、スズキ、ホンダの3強に挑む。

 特に、OEM(相手先ブランドによる生産)調達に依存してきた日産は開発に参画することで「日産らしさ」を実現した。軽市場はシェアを取りに行く「強化派」とOEM供給に徹する「静観派」に分かれていたが、新たなビジネスモデルの出現は、他社の動向にも影響を与えそうだ。

 「OEMビジネスの在り方を見直さざるを得なくなった」

 日産の志賀俊之・最高執行責任者(COO)は6日、ガソリン1リットル当たりの燃費性能が29.2キロ、価格が106万円からとなった新型軽「DAYZ(デイズ)」の発表会で、今回の共同開発の狙いを説明した。

 同社はこれまでスズキ、三菱自動車からのOEM調達で軽を販売してきたが、拡大する需要を取り込める供給を受けられず、存在感を発揮できずにいたからだ。日産は月間8000台の販売目標を立てた。

 一方、国内販売が低迷する三菱自は「もう一度勝負をかける車」(益子修社長)と位置づける。特に、「トッポ」「i(アイ)」の軽2車種の生産を中止して、今回の新型軽「eKワゴン」(価格は105万円から)の販売にかけるだけに、その意気込みはすさまじい。三菱自は月5000台の販売目標を掲げた。

 ただ、今回の軽は、両社とも「日産らしさ」「三菱らしさ」を強調するが、共同開発ということもあり、仕様や外観はほぼ同一。今後、販売店の多さやブランド力で分がある日産に販売が偏る可能性は否めない。

 三菱自も、「日産はある意味、一番厳しいライバルになる」と予測する。とはいえ、両社は、国内専用車の軽への投資リスクを抑え、主軸の海外販売に開発資源を集中させたい狙いも透けて見える。

 OEM調達だけのマツダや富士重工業が、異例のテレビコマーシャルを放映するなど、軽市場での存在感を高める新たな動きも出ている。各社が軽を無視できない市場と位置づけているためで、開発強化を打ち出すホンダは「Nシリーズ」の第4弾を投入するなど余念がない。

 競争環境が過熱する一方、国内専用車の軽をどこまで強化するか、各社の判断は分かれそうだ。

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