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「軽」販売店改革、女性に照準 ダイハツ・スズキ・ホンダが工夫こらす
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スズキの販売店「スズキアリーナ三鷹」では、女性が気軽に入れる空間を意識した(スズキ提供) ダイハツ工業、スズキ、ホンダの「3強」による軽自動車の販売競争が過熱する中、各社が販売店改革に乗り出している。キーワードは「女性」。7割を占めるユーザーであることや、家庭の財布のひもを握っているためで、カフェのような気軽に入れる店舗づくりで女性の心をわしづかみにする。
1月に開所したスズキの直営販売店「スズキアリーナ三鷹」(東京都三鷹市)。カラフルなパステルカラーの家具を配置し、独立型の授乳スペースを同社販売店として初めて設けるなど、女性が長居しても心地よい空間となった。
店舗づくりには、国内営業推進部内の女性社員4人で構成する「女子改(じょしかい)」の提案が生かされた。例えば椅子だ。実は、各テーブルには、ひじ掛けが付くタイプと、ひじ掛けがないタイプの2種類をそれぞれ配置。担当者は「子供は、転落しないようひじ掛けタイプを使ってもらい、体の大きい男性には、ひじ掛けがない椅子を使ってもらうなど工夫した」と語る。
現状、「女子改」が手がけた店舗は、この1店舗のみだが、今後販売店を増やしていく計画という。
ダイハツは国内670の全店舗で、カフェをイメージした内装やコーヒーなどを出す「カフェプロジェクト」を進めている。2005年から始まったが、現在は、本社主導から販売店主体のプロジェクトに切り替え店舗改革を進めている。
都心の店舗では、店舗スタッフをカフェ風のボードで紹介したり、有名パティシエがプロデュースした菓子を提供したりする。早くも好評で、「女性客の来店も徐々に増えている」(都内販売店)という。
ホンダも、小型車と軽に特化した「スモールストア」を昨年から導入し順次拡大。女性を意識した店舗づくりで、トイレをホテル並みにきれいにし、バリアフリー設備を取り入れたり、車を止めやすいように駐車場も広げた。
広い室内空間を武器に12年度の軽販売でトップとなった「N BOX」だが、スモールストアを中心とする販売店改革による効果も販売を大きく押し上げる要因となったようだ。
3社は、女性客の取り込みと合わせ、店舗再編も同時に進めている。スズキは大規模店舗を増やす取り組みを加速。ダイハツは15年までに730店舗程度に店舗を増やす計画で、ホンダはスモールストアの店舗数を現在の約250店から、さらに拡大する方針を掲げている。(古川有希)