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川重、長谷川社長ら解任 「取締役会軽視」クーデター劇
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「(長谷川聡社長=写真=らが)取締役会を軽視した行動を続け、取締役として適性を欠くと判断した」。都内のホテルで開かれた緊急記者会見。“クーデター”で長谷川氏らを解任した村山滋社長は強い口調で語った。
午後3時からの臨時取締役会では、解任の緊急動議が出され、残る10人の取締役全員が一斉に賛成した。長谷川氏らは「統合交渉の定義について考え方が違った」などと釈明。だが、解任決定後は「淡々としていた」(村山氏)。取締役会は35分ほどで終了した。
解任のシナリオは、統合反対派の大橋忠晴会長らが書いたとされる。6月13日に統合交渉打ち切りを議題とする臨時取締役会が設定され、この日が「Xデー」になった。
統合交渉は長谷川氏らが水面下で進め、他の取締役が説明を受けたのは、報道される4月22日の1週間ほど前。他の取締役は統合に否定的で、6月下旬の株主総会前の5月23日の取締役会で是非を決めるべきだとの意見が出た。
だが、長谷川氏らは、5月23日の取締役会では議題にせずに、終了後の検討会議で協議した。取締役の多くが反対を表明したにもかかわらず、広畑昌彦常務は内容を議事録に記載せず、長谷川氏らは決定を株主総会後まで凍結したという。
村山氏は会見で「凍結するとしながら、資産査定は継続するメールを関係者に出していた。不信感をおぼえた」と強く批判した。
村山氏らが統合に反対したのは「不振の造船事業が主力の三井造船と、鉄道や航空機などが強みの川崎重工が統合してもメリットがない」(関係者)と判断したからだ。副社長に就任した松岡京平氏も「統合報道後の市場の反応は、(株価が下がり)企業価値向上につながらない、ということだった」と指摘する。
長谷川氏はワンマンタイプではなく、気配りの人という社内評価もあった。一方、村山氏は好調な航空宇宙部門の出身。「統合反対派のクーデター」との見方に村山氏は「(航空や造船など)すべてのカンパニーの総意だ」と語った。