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NTT、世界のクラウド事業者へ転換 「元通信事業者」と鵜浦社長

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NTT、世界のクラウド事業者へ転換 「元通信事業者」と鵜浦社長

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 就任2年目に入ったNTTの鵜浦博夫社長は8日までに、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、NTTグループを「元通信事業者」と位置づけるとともに、世界で本格的にビジネスを展開するクラウド事業者に転換する考えを強調した。主な一問一答は次の通り。

 --社長に就任した1年前と比べ、NTTの株価は上がった

 「株価上昇は(安倍晋三政権の経済政策)『アベノミクス』との連動もあっただろう。この1年間はわれわれも変革し、ユーザーの変革も手伝う姿勢でやり、順調なスタートだと自己評価している。変革のスピードを上げ、新たな問題も解決し、次世代への宿題を最小化したい」

 --2年目の課題は

 「『グローバルクラウド』を成長の柱とするのは変わらない。マーケットにいかに近いところでサービスを出せるかだ。コンサルタント会社の買収などで、クラウドへの移行に関する要望や移行作業、移行後のサービスなど各段階に対応できるようになった。カバー地域も広がり、ユニークなオールラウンドプレーヤーになりつつある」

 「とはいえ、パートナーシップも必要。ユーザーにとって良い事業者とは、サービスや製品を一括で押し付ける企業ではなく、最適な部品の入れ替えとサービスを提供できる企業だ。クラウド事業大手の米セールスフォース・ドットコムも米国以外のデータセンターにNTTコミュニケーションズを採用した。融通無碍(むげ)にやっていく」

 --NTTドコモによる米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の発売に役員が前向きな発言をした

 「短期的なシェア競争と、利用者の嗜好(しこう)に合わせた中長期の競争の両方を、うまくやっていくという意味で役員が株主総会で答えた。マルチデバイスでOS(基本ソフト)フリー、キャリアフリーの時代に、通信事業者が自らのサービスだけ提供していてもうまくいくはずがない。(躍進した)『LINE』とか『ニコニコ動画』は通信事業者に縛られていない。競争モデルは大きく変化した」

 「アイフォーンを否定したことはないが、アップルや米グーグルはわれわれの収益を奪うビジネスモデル。ユーザーは誰にも縛られたくないという方向に必ず向かう。それが新たなステージとなる。そこで“元通信事業者”であるクラウド事業者には、他の事業者とのコラボレーション(協業)が重要となる」

 --元通信事業者とは

 「通信も一つのサービスでしかなくなった。通信インフラを持っていたから電話事業をやってきたが、今は設備とサービスは別もの。“元”という言い方は、生い立ちは通信事業者でも今はグローバルなクラウドプレーヤーだという意味だ」(芳賀由明)

 【プロフィル】鵜浦博夫(うのうら・ひろお) 東大法卒。1973年日本電信電話公社(現NTT)入社。取締役、副社長などを経て2012年6月から現職。64歳。石川県出身。

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