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ソフトバンク「世界一」へ巨額投資 スプリント買収、孫社長の挑戦続く

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ソフトバンク「世界一」へ巨額投資 スプリント買収、孫社長の挑戦続く

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ソフトバンクの連結有利子負債残高  ソフトバンクが米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを10日(日本時間11日)にも傘下に収め、成長戦略の柱に据える米国での事業展開にいよいよ乗り出す。

 現地時間の8日には米無線通信会社のクリアワイヤがスプリントの完全子会社になることを臨時株主総会で承認。ソフトバンクは2つの企業を手中にし、携帯電話事業で世界トップの座を狙う。

 ただ、赤字にあえぐスプリントの立て直しを図りながら、顧客獲得競争を勝ち抜くのは容易ではなく、高速通信網の整備に巨額の投資も欠かせない。乗り越えるべき壁は高く、課題は山積している。

 「世界で最もリッチで進んでいる米国は、携帯市場が日本の2.5倍以上。米国進出に胸を膨らませている」。ソフトバンクの孫正義社長は6月21日に東京都内で開いた株主総会で、こう強調した。

 厚い「2強」の壁

 ただ、米国でのスプリントの契約数は約5500万件。これに対して首位のベライゾンは約1億1600万件、2位のAT&Tが約1億700万件と差は大きく、「2強」のシェアは6割を超える。しかもスプリントは2012年12月期まで6期連続で連結最終赤字を計上し、体力に乏しい。

 その上、高速通信サービス「LTE」のネットワークでも出遅れている。3月末時点で整備済みの地域はベライゾンの491、AT&Tの190に対し、スプリントは88にすぎない。

 ソフトバンクはLTEのインフラ整備を重視しており、クリアワイヤの豊富な周波数を活用して上位2社に対抗する構えだ。スプリントの経営陣はソフトバンクとの調整を踏まえ、6月25日の株主総会で設備投資に13年と14年に各80億ドル(約8090億円)、15~18年も毎年60億ドルを充てる方針を打ち出した。

 「リスクはあるが(成功する)自信がある」。孫社長はこう公言してはばからなない。この自信を支えるのは、携帯電話事業に参入するために買収した英ボーダフォン日本法人の経営を立て直した実績にほかならない。

 スプリントは業績が好転する傾向にあり、ユーザー数も伸びているとして、孫社長は「ボーダフォンよりも楽ではないか」と強気の姿勢を崩さない。

 ソフトバンクが米国進出に社運をかけた背景には、日本では需要の大きな伸びが今後見込めないことがある。携帯電話の国内普及率は100%を超え、飽和状態が近づいている。しかも、事業者間の料金競争が激しくなっており、契約者1人当たりの料金収入は拡大が見込めない。一方、「米国は人口が伸びており、1人当たりの売上高も多い」(孫社長)として、今後も有望な市場と判断した。

 相乗効果を期待

 さらに、孫社長が期待するのは経営統合による相乗効果。携帯端末の調達コストやネットワーク設備の投資額を、年間当たり2000億円から3000億円は抑えられるとソロバンをはじく。

 ただ、スプリントをめぐる米ディッシュ・ネットワークとの買収合戦には勝ったものの、ディッシュに対抗するために買収額を上積みした結果、80億ドルを予定していたスプリント向けの資金が50億ドルに目減りしてしまった。この影響で「スプリントの設備投資が遅れる可能性がある」(証券アナリスト)との懸念も浮上している。

 スプリントへの投資で、ソフトバンクの財務状況の悪化は避けられそうにない。216億ドルにものぼる買収費用の大半を借入金や社債発行で賄うため、ソフトバンクの連結ベースの有利子負債は買収後には6兆円を超える見通しだ。

 財務悪化 問われる孫社長の手腕

 このため、孫社長の自信とは裏腹に、金融市場はソフトバンクの挑戦に懐疑的な目を向けている。米格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は8日、ソフトバンクの長期会社格付けを投機的水準とされる「ダブルBプラス」に2段階引き下げた。スプリントの買収に伴う財務負担の増加などがその理由だ。

 しかも、財務面だけでなく、米国での携帯電話事業の先行きについても、S&Pは「厳しい競合状況が今後2~3年で大幅に改善することはない」と冷ややかにみる。

 孫社長は株主総会で「新たな大ぼらを吹く。利益でもキャッシュフローでも時価総額でも、あらゆる面で世界一の会社になる」と宣言した。もっとも、米国で思惑通りに携帯電話の契約者数を伸ばせなければ、世界一への第1関門となるスプリントの経営改善すら絵に描いた餅に終わりかねない。

 孫社長の手腕とソフトバンクの真価が問われるのは、まさにこれからだ。(松元洋平)

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