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EV普及拡大へ4社タッグ 充電インフラ整備で費用一部負担
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充電設備の共同プロジェクトを発表した(左から)トヨタ自動車の佐藤康彦常務役員、日産自動車の川口均常務執行役員、ホンダの峯川尚専務執行役員、三菱自動車の蓮尾隆一国内営業本部長=29日、東京都港区 トヨタ自動車と日産自動車、ホンダ、三菱自動車は29日、全国で計約4700基の設置にとどまっている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)用の充電器を、4社で協力して2014年秋までに1万2000基に増やすと発表した。充電インフラの整備では、費用の最大3分の2を補助する政府の制度が今春から始まっているが、メーカー自らも積極的に関わることでEVやPHVの普及を後押ししたい考えだ。
具体的には、ショッピングセンターや高速道路のサービスエリアなどの公共施設の事業者・運営者に充電器の設置を呼びかけ、設置費や維持費の一部を4社が負担する。4社の負担割合などは今後詰める。
政府が1005億円を投じる補助金制度の対象となる設備は設置期限が14年10月末までのため、それまでに急速充電器を現状の1700基から4000基規模に、普通充電器を3000基から8000基規模に増やすことを目指す。
東京都内で4社が開いた会見で、日産の川口均常務執行役員は「低炭素化の推進に自動車メーカーが果たす役割が大きく、業界の競争は激しいものの、次世代車のインフラ整備では力を合わせる」と説明した。
また、充電器の利用料金を徴収しているサービス会社3社の間で課金システムに互換性がなく、現状では利用者は加入した会社以外の充電器を使えないが、川口氏は「1枚のカードでどこでも充電できる仕組みを考える」とし、利便性の向上を図る考えを示した。
ライバルの4社が手を組んで充電インフラの整備に乗り出す背景には、EVの販売不振が長期化している現状がある。
09年以降、三菱自と日産がEVの市販化を始めたものの、国内の累計販売台数は6月末現在で日産が約2万7000台、三菱自は1万3835台にとどまる。充電インフラの整備も進まず、「1社ごとの取り組みでは限界がある」(川口氏)と判断し、約半年前から協議を始めたという。
EVについてはリース販売や限定販売にとどまるトヨタとホンダも「PHVを拡販したい」(トヨタの佐藤康彦常務役員)との思惑から連携に加わった。