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設備投資、製造業の海外シフト止まらず 「攻め」重視へ企業後押し

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設備投資、製造業の海外シフト止まらず 「攻め」重視へ企業後押し

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 一部に明るい兆しが見える国内の設備投資が、景気回復につながるかは不透明な面も多い。企業の関心は海外に依然向き、国内の設備投資も設備の維持や補修など「守り」を重視する姿勢が強いためだ。「前向き」の投資へと企業の背中を押すためには、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による支援の強化が必要との見方が多い。

 「アベノミクス効果でさまざまな分野で需要が伸び、採算レートを大幅に上回る円安水準も定着しており、国内の設備投資は回復していく」。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストはこう指摘する。

 さらに、機械や装置などを受注する企業の収益拡大につながる「波及効果」も見逃せない。設備投資の増加に伴い「省エネを進める企業の空調需要も取り込める」(三菱電機の梅村博之常務執行役)と期待の声が上がる。

 ただ、自動車を中心に製造業の海外シフトは止まらない。日本政策投資銀行の調査によると、大企業製造業の設備投資は2012年度に続いて13年度も国内外ともに伸びる計画となっているものの、前年度比13.7%増の海外投資に対して国内投資は11.2%増とやや下回る。また、目的別の構成比は13年度計画で「維持・補修」(25.6%)が「能力増強」(23.6%)を初めて上回り、「合理化・省力化」の割合も上昇した。

 このため、同行の穴山真・産業調査部長は「国内の設備投資が今後、本格的に改善するかは予断を許さない」と分析する。

 為替相場の円安傾向で誘発された企業の設備投資が、景気を好循環に導く牽引(けんいん)役になるには力不足と見る向きは強い。「規制緩和や法人税減税などで企業の競争力を高め、新産業を興しやすい環境づくりも不可欠」(宮前氏)と、政策面での後押しを求める声は少なくない。

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