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再建中のシャープ、歴代首脳はいま 消えたオーラ、社費で海外出張

ニュースカテゴリ:企業の電機

再建中のシャープ、歴代首脳はいま 消えたオーラ、社費で海外出張

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経営再建に力を注ぐ高橋興三社長(左)と歴代首脳たち。右上は天理工場に拠点を移した片山幹雄氏。下の3人は右から辻晴雄、町田勝彦、奥田隆司の各氏  経営再建中のシャープで“ゾンビ経営者”と株主らに批判された社長経験者たち。経営危機を招いた過去との決別を目指す高橋興三社長は、迅速な経営判断を下すため自身への権限集中にこだわりをみせるが、会長、特別顧問、技術顧問(フェロー)として社内にとどまった歴代の首脳は今夏、どう過ごしているのだろうか。

 前社長は黒衣(くろご)

 「液晶事業の改善が大きく寄与した。回復基調に入ってきた」。

 8月1日、平成25年4~6月期の連結決算を発表した高橋社長は、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 本業のもうけを示す営業損益は30億円の黒字を確保し、941億円の赤字だった前年同期から大幅に改善した。6月末に就任した高橋社長にとって、「前社長の奥田隆司会長の敷いたレールにほぼ乗っただけ」(関係者)ともいえるが、円安効果で太陽電池事業が黒字転換したうえ、人件費などの固定費削減などリストラ効果も利益を押し上げた。就任後初の決算発表をひとまず無難に乗り切った形だ。

 その奥田会長の近況はどうだろう。奥田氏は“ゾンビ経営者”と批判されたわけではないが、社長在任中は前社長・元社長の影響力を排除できず、思ったほどの実績を残せなかった。

 会長とはいえ代表権はなく、「経営に対し、ごちゃごちゃというつもりはない」と明言している。関係者は「業界団体の活動を引き受け、高橋社長の負担をなるべく肩代わりすることに腐心している」と打ち明ける。

 最近は、地方の事業所や生産拠点を回って従業員を励ましたり、家電量販店など得意先を回ったりすることに時間を費やしており、高橋新体制を陰で支える黒衣役に徹している。

 棒読みと沈黙

 それでは特別顧問の2氏は-。

 4代目社長の町田勝彦氏については、経営悪化の責任を踏まえ、一時は完全引退も検討されたが、大阪商工会議所の副会頭を兼任することから、「財界活動には会社の肩書が必要」と判断され、「相談役」を退くも、無報酬の「特別顧問」に就任した経緯がある。

 7月19日には、大阪市中央区の大商で開かれた正副会頭会見に出席。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対する所感を聞かれ、「エアコン販売が好調で、大型テレビの単価が上がるなど国内の家電販売が安定してきた」と発言した。

 関係者によると、発言は事前に準備した原稿を棒読みしたように聞こえたという。数年前までカリスマ経営者と呼ばれた“オーラ”は失われていた。

 特別顧問には専用の秘書や送迎車がなく、大商への送り迎えが社内で問題になった。タクシーで行き来してもらうことも検討されたが、マスコミの目にさらされることなどを考慮して結局、空いていた社用車を使用したという。

 3代目社長の辻晴雄氏。特別顧問のままだが、本社の役員フロアにあった専用執務室は町田氏の部屋とともに撤去された。本社の別棟に町田氏との相部屋が用意されたが、最近は姿を見せることはない。

 関係者は「もともと現経営陣に影響力を行使することを避けてきた人物。今回の経営危機を招いた時期には既に一線を退いており、むしろ現経営陣が助言を請いたいと特別顧問にとどまった」と解説する。

 海外出張に憶測

 最後に、5代目社長で技術顧問(フェロー)に就任した片山幹雄氏。

 経営者としては株主総会で「いることが害だった」と痛烈に批判されたが、液晶技術では社内トップレベルの知識を誇り、液晶関連の特許を保有していることで知られる。こちらは無報酬の特別顧問と違い、規定に従って一定の報酬を受け取る技術顧問にとどまり、株主総会後に執務拠点を天理工場に移した。

 社長を退き、代表権を返上した昨春以降、会長として米クアルコムや韓国サムスン電子との出資交渉をまとめ上げた功績を内外にアピール。

 当時、海外担当副社長として片山氏の交渉の場に同席した高橋副社長。しかし、「(片山氏の)カバン持ち」「ハンコ持ち」のイメージが広がっていることに不快感を隠さず、現在は、記者が片山氏について質問すると「天理にパージ(追放)した」と苦々しく語るという。

 片山氏は最近、社費を使って米国をはじめ海外出張によく出かけているという。技術顧問だけに名目は技術関連の視察や研究といったものになっているが、関係者の間では「何が目的かわからない。思い出旅行か、はたまた就職活動か」と憶測を呼んでいる。(松岡達郎)

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