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【クルマ人】デザイン一発合格のトヨタ「SAI」 トヨタ社長「かーっこいい!」
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トヨタ自動車が8月29日に発売したハイブリッド車「サイ」を紹介する製品企画本部ZC主査の加藤亨氏 トヨタ自動車は8月、高級セダンハイブリッド車(HV)「SAI(サイ)」を大幅改良して発売した。ガソリン1リットル当たりの走行距離を22.4キロまで改善し、燃費性能を高めたのも特長だが、新型サイの最大の特長は何といっても「かっ飛んだ」デザインだ。印象的な横長ランプや高級感あふれるインテリアなどデザインを刷新した。「サイを大人がモテるための武器にする」と豪語するのが、初代モデルからサイの開発責任者を務める製品企画本部ZC主査に加藤亨氏に、サイに込めた思いを聞いた。
「デザインの先進性をとことん突き詰めてほしいというつもりでいった。私からはあまり細かく指示を出さず、『とにかく任せるからやりたいことを全部やろう』って」
「ヘッドランプは今までにないデザインで、生産する設備もなかったが、やりたいことは全部やるというので建屋の壁を壊したり台車を大きくしたりして生産ができるようにした。今までは『こういう理由でできない』とあきらめてしまっていたが、全部やるといった手前、全部やらないといけなかったので…(笑)」
「そこは(デザインとは)また別の視点で見た。やりたいことは全部やるが、無駄な設計は一切許さなかった。エントリーモデルはカーナビを標準装備にしなかったので価格が下がったが、装備を合わせると前のモデルとだいたい同じくらいの価格になる」
「コンセプトはまったく変えていないがデザインを変えた。もともと、サイのコンセプトは『才能と彩り』。才能は環境性能と、車が小さくて扱いやすいというところ。彩りは静粛性や操縦安定性、もうひとつはデザイン、それを両立させたが、今回はそれを進化させている。ただ、デザインのテイストは変えた」
「客層を広げたいと思っている。初代モデルを開発したときは、団塊の世代の価値観はシンプルで健全な価値観をもっているだろうと思っていた。ただ、自分が段々その年に近づくと、色気はずっと持っているし、枯れていないぞ、と(笑)。シンプルな価値観だけではないことに気づいた。もうひとつ、彼らには30~40代の息子さんがいる。その人たちは色気のど真ん中。父親が車を買うときに『サイがいいよ』とアドバイスしたり、サイがほしいから親父に買ってもらおう、ということになるかもしれない」
「あるでしょうね。サイは(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の)4チャンネルで売るので、カローラ店では両方売ることになる。サイズはカムリは大きい、サイは小さい。燃費はほぼ一緒。静粛性はサイの方が優れている」
「HVは走る環境技術として注目されるが、車を作るという視点でも何かしなければいけないと思った。その答えが、植物から樹脂を作る、またはリサイクル材を使うこと。車は走るだけではなく、存在するだけでも環境に役に立つことができるはず」
「たくさんある。材料開発と製品開発と工程設計を同時並行で動かしたので、材料が変わった瞬間、設計も変えないといけないし、逆もあった。樹脂の特性が日々変化している中での部品設計は大変苦労した。石油から作った樹脂と同じものになっていないときは設計でカバーした」
「十分やれると思う。ターゲットを絞っているつもりはなく、分かりやすくて素直にかっこいいという車だからターゲットは広いと思う。ただ価格が少し高いのでプリウスほどは売れないだろう」
「たくさんのバリエーションがあるからこそ、一つの価値観だけ押しつけるのはどうか。全部プリウスみたいなエコ路線でなくてもいい。もちろん、燃費がいいとか環境素材を使うなどのベースの部分はおさえなくてはいけないが、車のテイストはいろいろあっていいと思う」
「デザイン審査に出席した章男社長が『かーっこいい!』と一言。一発合格でみんなでガッツポーズした。もちろん自信はあったがあそこまで言われるとは」