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顧客獲得のカギ握る「プラチナLTE」 新型iPhone対応で注目
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新型スマートフォン「iPhone5s」(アップル提供) 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新モデル「5s」と廉価版「5c」の販売が20日から始まった。今回から、KDDI(au)とソフトバンクモバイルに加え、新たにNTTドコモも取り扱いを開始したことで、顧客の獲得競争が激しさを増した。三つどもえの競争のなかで、各社とも端末価格や通信料金は同水準にまとまった。
この状況下で、獲得競争の行方を左右しそうなのが、通信速度やつながりやすさの差になりそうだ。特に高速データ通信サービス「LTE」と、700~900MHz(メガヘルツ)の周波数帯域、いわゆる“プラチナバンド”を使った「プラチナLTE」は、大きなキーワードになる。
プラチナバンドは、電波の浸透性が高く、GHz(ギガヘルツ)帯の電波より屋内エリアでも有利とされている。遠い場所やビルの内部、建物や地形の影響を受けにくく、電波がよく届くことから、価値が高い周波数帯としてプラチナと表現されている。
総務省が公表している通信キャリア各社のLTE基地局の免許許可数によると、2.1GHz帯ではNTTドコモが最も多い約3万2000の基地局を有しているが、800MHz帯ではKDDI(au)が約3万2000、総数でも他社が4万以下なのに対して、KDDIは6万超と他社を圧倒している(2013年8月17日現在)。
800MHz帯はすでにNTTドコモとKDDIがアンドロイド端末向けにLTEサービスを展開。ソフトバンクモバイルも14年春に900MHz帯で「プラチナLTE」サービスを開始する。NTTドコモは20日に新たに1.7GHz周波数帯でアイフォーン向け高速サービスを東京などの都市部で提供すると発表した。
iPhone5までは対応帯域が2.1GHzとプラチナLTE非対応だったが、今回のiPhone「5s」と「5c」が800MHz帯に対応したことにより、特に800MHz帯基地局数の多いKDDI(au)においては、iPhoneでもプラチナLTEのメリットを享受できることになった。今後は、NTTドコモやソフトバンクモバイルもプラチナLTEの基地局数増加が予想されるが、KDDIは、今まで800MHzを中心にインフラ整備をしてきた実績から、当面、つながりやすさでは優位に立ちそうだ。