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過酷な「玉入れ」でストレス発散 パナソニックの健康増進策
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健康増進と職場の一体感増勢のため玉入れに取り組むパナソニックグループ社員(パナソニック提供) パナソニックが福利厚生に「玉入れ」を取り入れ、社員の健康づくりと職場のコミュニケーション向上に成果を上げている。運動会で児童が籠をめがけて玉をほうり投げるほほえましい光景が思い浮かぶが、同社が導入しているのは「全日本玉入れ協会(AJTA)」という競技団体がルールを定める、れっきとしたスポーツだ。全身が筋肉痛になるほどのハードさの半面、ストレス発散に最適だという。
AJTAのルールによると、競技玉入れ(アジャタ)は籠の高さが4・12メートル。6人1チームで100個の玉をすべて入れるまでの時間を競う。これまでの最速記録は9・12秒だという。
パナソニックは現在、創立100年にあたる平成30(2018)年までの8カ年計画で、がんとメタボリックシンドローム、メンタルヘルス、ロコモティブシンドローム(運動器不安定症)、歯の病を5つの重点疾患に指定。社員に対し生活習慣の改善とコミュニケーション向上、健康診断の受診の3方向から予防を呼びかけている。
しかし、多くの社員を予防活動に巻き込むのは容易ではない。パナソニック健康保険組合の阪本義邦医師は「ウオーキングなどの教室を開いても、関心があるごく一部の人しか参加しなかった」と打ち明ける。
そこで目を付けたのがアジャタだった。アジャタは6人のフォーメーション、投げる人と拾う人の分担など奥が深く、チームワークが求められる。
「性別は関係ないスポーツ。最初はみなばかにするが、なかなか入らない」(阪本医師)。落ちた玉を拾ってまた投げるという動作に没頭すると、息が切れて汗だくになり、全身が筋肉痛になるほど体を酷使するという。しかしストレス発散には最適だ。
23年に福岡のグループの事業所で一部の社員が昼休みの運動として始めたのが最初。今では同事業所の従業員約3千人のうち7割ほどが参加している。
パナソニック人事・労政グループの上床典之チームリーダーもアジャタに挑戦したうちの1人。「へとへとになった。ぜんぶ入れるのに5分くらいかかった」と苦笑いする。社内記録は愛媛県の医療機器子会社、パナソニックヘルスケアのチームがもつ20秒。ただ、国内最高の9・12秒とはまだまだ開きがある。
阪本医師はアジャタ導入について「自分の健康増進に、より主体的に取り組むきっかけを提供できたのではないか」と振り返る。導入後に肥満体の割合やウオーキングの歩数が改善した事業所が少なくない。アジャタで自分の体力を再認識し、ウオーキングの歩数の目標を引き上げる人もいるという。
また、アジャタを全拠点で取り入れたAVCネットワークス社(社内分社)では、従業員へのアンケートで68%が「職場のコミュニケーションに良い方向にはたらいた」と回答した。社内記録をもつヘルスケア社は安定的に利益を出す優良部門に成長し、培った“体力”で来年4月からは米投資ファンドの下でグローバル展開を図る。
これから運動会や体育祭は本格シーズンを迎える。たかが玉入れ、されど玉入れ、あなどるなかれ…。(南昇平)