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紫外線で車体の塗装が元通りに 産総研、新型塗料の商品化研究

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紫外線で車体の塗装が元通りに 産総研、新型塗料の商品化研究

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光照射によって液化、固化する塗料のイメージ  傷ついた自動車の車体に紫外線を当てるだけで塗装が元通りになり、何十万円もかかる塗装の修理代を支払う必要がなくなる-。

 独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が進めている研究開発は、こんな未来の新型塗料の商品化に応用できる可能性を秘めており、成果が期待されている。

 産総研のナノシステム研究部門は、紫外線を当てると分子の形状が変化して固体が液体になり、さらに可視光線を照射すれば再び固体に戻る性質を持つ物質を開発した。キシリトールのような甘味料などに使われる糖アルコールの分子1に対し、6つの石油系色素(アゾベンゼン)を組み合わせたという。

 この物質を使ってガラスを張り合わせる接着剤として実験したところ、固体状態だと市販されている両面テープ程度の接着強度を持ち、紫外線を約3分照射すると液体になって接着面が容易に剥がせることが分かった。

 さらに再び緑色や青色の可視光線を1、2分当てると固体の状態に戻り、元の接着力を回復することが実証された。

 その上で、この「光による接着剤」の原理を応用し、液晶画面などに使われる石油系液晶の中に、プラスチックなどの原料となる高分子の微粒子をちりばめた物質を開発。さらに紫外線を吸収する少量の有機化合物、アゾベンゼンを混ぜ合わせることで、光の照射だけで流動化したり固まったりする塗料を作り出した。

 この塗料を施した自動車の車体が事故などで傷ついた場合、塗装面は紫外線を照射するだけで液体化し、簡単に修復することが可能になる。走行中などは「アゾベンゼンの濃度を調節することで、太陽光に反応しないように塗装面を安定させられる」(山本貴広・スマートマテリアルグループ主任研究員)という。

 紫外線を当てると固体が液体になり、可視光線を照射すれば固体に戻る物質について、産総研は光で容易に脱着ができる産業用の接着剤として「実用化を急ぎたい」(秋山陽久主任研究員)としている。

 また、塗料として利用するためには、無色化や塗装面がベタベタしないようにすることなどが課題となっており、10年後程度をめどに光反応型塗料の実用化を目指す考え。現在、自動車の塗装修理には傷の程度により数万円から数十万円がかかるが、実用化されると修理費の負担が大幅に軽減されそうだ。

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