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携帯大手3社、コンテンツサービスで“差別化”戦略に明確な差

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携帯大手3社、コンテンツサービスで“差別化”戦略に明確な差

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スマートフォン業界について語る携帯電話ライターの佐野正弘氏  年末商戦でスマートフォンの国内市場がにぎわいをみせている。今年のスマホの国内市場は、「iPhone」が携帯電話大手3社から発売され、端末性能や通信料で大きな差がつかなくなってきた。コンテンツサービスを充実させることで顧客獲得を狙った3社の“差別化”戦略を振り返り、2014年の展望を予測する。

 12月に各社が発表したMNP(モバイルナンバーポータビリティ)利用実績で26カ月連続トップと好調が続くKDDIは、月額390円で1000種類以上のアプリが使い放題のサービス「auスマートパス」の会員数が800万人を超えた。

 携帯電話ライターの佐野正弘氏は「有料のサービスだが、アプリ使い放題に加え、クーポンやリアルな商品が“ラッキー”という形で利用者に還元され、サービスの魅力を高めている。コンテンツを提供する側にとっても、800万人に商品を効果的にアピールでき利益も配分される」と評価。「2014年は、通信キャリア・コンテンツサプライヤー・ユーザー間における安定した体制を、いかに維持できるかがポイント」と話す。

 スマホ向けネットショッピングサイト「dマーケット」を展開するNTTドコモは、従来の「dビデオ」、「dゲーム」などに加え、ファッション通販サイトの「d fashion」や旅行会社のJTBと提携した「dトラベル」などコンテンツを増やしている。佐野氏は「基本料は無料だが、コンテンツサービスそのものの規模を拡大させ、いかに利用者に商品を買ってもらうかというビジネスでユーザー還元型のKDDIとは異なる戦略といえるだろう」と分析。「ただ最大の課題はMNPの流出を止めること」と指摘する。

 KDDI、ドコモとはまた違ったやり方なのがソフトバンクモバイルだ。佐野氏は「コンテンツサービスを戦略の主軸としておらず、スマホ市場全体を盛り上げ、いかに『iPhone』を買ってもらうかを考えている」とし、「最近は海外に気をとられているようだが、国内市場をおろそかにしていると急激に落ち込む可能性もある」と説明する。

 民間調査会社のMM総研によると、2013年度のスマホの国内出荷台数は2990万台(前年度0.6%増)で、前年度並みに留まるとしている。佐野氏は「スマホの普及は落ち着き、飽和状態での競争になりつつある」と指摘。「ここからさらに伸びるためには次の“ブレイクスルー”が必要であり、そのひとつが“低価格スマホ”になるかもしれない」と「価格」に変化の可能性があると予測する。

 来年もiPhoneを軸とした顧客争いが予想されるが、2013年の焦点となったLTEのエリア拡大や通信速度などに加え、コンテンツサービスや端末価格についても各社の動向が注目される。

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