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東電の再建計画、原発の再稼働が達成左右
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政府認定された東京電力の新たな再建計画は、総額4兆8000億円のコスト削減や2000人規模の希望退職実施を目標に掲げる一方で、電力販売の全国展開やガス事業の拡大などの成長戦略を描く。計画の実現は、国のエネルギー基本計画案で示された「総合エネルギー企業」への転換に向けた試金石となる。
再建計画は、電力小売りが全面自由化される2016年4月をめどに他の電力各社に先駆けて、発電、送配電、小売りを分社化したカンパニー制の導入で発送電分離を実施すると明記。10年後には、全国規模の電力販売で100万キロワット以上分の1700億円の拡大を目指すとしている。
また、液化天然ガス(LNG)の年間調達量を現在の2500万トンから最大4000万トンに増やし、地域のガス会社や企業などへのガス販売の拡大を計画。10年後には年100万トン以上にまで増やす計画を掲げる。
東電が独占してきた首都圏には、中部電力や関西電力がすでに進出を表明。東京ガスが16年から家庭向けにガス、電力、通信を一括して割安提供するサービスの開始を検討するなど、地域や業種を超えたエネルギー業界の戦いは間近に迫っている。
4月に新会長に就任する社外取締役の数土文夫氏(JFEホールディングス相談役)に、安倍晋三首相は「競争力あるメーカーの経営手法を徹底的に導入してほしい」と期待を寄せる。
しかし、東電経営の再建の大前提となる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働には地元自治体の同意が不可欠だ。再稼働が遅れれば、再建計画のシナリオが崩れる。原発を代替する火力燃料費の増大は電気料金の値上げを通じて国内企業の経営を圧迫しており、「数土新体制」に課せられた責務は重い。(宇野貴文)