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福島第1原発 廃炉へ険しい道のり あふれ出す水と格闘続く

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福島第1原発 廃炉へ険しい道のり あふれ出す水と格闘続く

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増え続ける汚染水に対応し増設が進む「溶接型」の貯蔵タンク=1月15日、福島県大熊町(代表撮影)  未曽有の事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所では、東日本大震災から3度目の冬を迎え、原子炉内に残った燃料をクレーンでつり上げ、安全な共用プールに移す作業が本格化。廃炉作業は一歩ずつ前へ進み始めた。東電は15、16の両日、同原発を日本記者クラブの取材団に公開した。その一員として現地を取材した。

 随所に惨事の爪痕

 15日の同原発一帯の気温は一時氷点下の肌寒さ。あいにくの曇り空だったものの、目の前に広がる太平洋は3年前の大津波がまったく想像できないような穏やかさだった。だが、岸壁近くでは随所に惨事の爪痕が残り、大量にあふれ出す水との格闘が続いていた。

 記者を乗せたバスが原発の構内に入ったのは午前10時半ごろ。約1時間半、構内を巡った。

 行程の半ばを過ぎると、震災による事故で大きく損傷した1~4号機の原子炉建屋が目に入る。中でも、4号機は原子炉建屋の上部が水素爆発で吹っ飛んだが、現在は鉄の構造物に覆われている。

 この構造物は、吹きさらしの燃料プールに沈んだ約1500本の使用済み燃料をクレーンで取り出すための“足場”だ。3メートル角の巨大鉄骨の総量は計4000トン。担当者によると「東京タワーの鉄骨とほぼ同じ量」という。

 昨年11月から燃料を取り出し、1月6日現在で132本の取り出しが完了。年内に全燃料の取り出しを完了する。

 4号機の北側に隣接する3号機の原子炉は爆発が大きく、周辺のエリアは構内で最も放射線量が高い。15日、バスが3号機の脇に進んだとき、「毎時300、500…。今630マイクロシーベルトに達しました」と東電の担当者が手元の線量計を読み上げた。

 外はさらに高線量のため、発電所の構内ではバスから一歩も降りることはできなかった。岸壁近くでは、さびて泥だらけになった自動車がひっくり返ったままで、津波の巨大さを物語っている。

 1日に汚染水400トン

 大量にあふれ出す水との格闘も続く。

 炉心を冷やす冷却水、建屋に流れ込む地下水-。毎日発生する400トンもの汚染水の処理方法は定まっておらず、「容量1000トンの貯水タンクを2日半に1個作らないと間に合わない」(同原発の小野明所長)。このため、原子炉建屋の山側では、空き地を埋め尽くすように高さ10メートルほどの円筒形タンクが林立、現在は約1000基に達した。東電は、タンクを増設し、総容量を現在の43万トンから2015年度中に80万トンまで引き上げるが、いたちごっこの感は否めない。

 原子炉建屋への地下水流入を減らすため、山側で地下水をくみ上げる取り組みも始まったが、海洋に放出することに地元漁協が難色を示し、汚染水はたまる一方だ。

 15日に政府に認定された東電の総合特別事業計画(再建計画)では廃炉・汚染水対策の強化を明文化したが、全工程が完了するのは30~40年後。廃炉に向けた長く険しい道のりは始まったばかりだ。(藤原章裕)

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