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脱原発、東電再建に「暗雲」 都知事選、政府のエネ政策も左右

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脱原発、東電再建に「暗雲」 都知事選、政府のエネ政策も左右

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 猪瀬直樹氏の辞職に伴う東京都知事選(2月9日投開票)が23日告示される。原発政策が争点の一つに浮上するなか、結果によっては原発再稼働を前提にした東京電力の「総合特別事業計画(再建計画)」は大幅な見直しを迫られかねない。同社や関係省庁は知事選の行方に気をもんでいる。

 「万一、大消費地の東京都が反原発となれば、再稼働に反発する新潟県知事が勢いづく」

 東電の首脳はこう心配する。

 16日、同社の広瀬直己社長から柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の今夏の再稼働を盛り込んだ再建計画について説明を受けた新潟県の泉田裕彦知事は「柏崎刈羽についてまったく協議がないまま(政府に再建計画の認定を)申請したのは残念」と東電の対応に不満を示した。

 ただ、東電が昨年、再稼働に向けた安全審査を申請した際、泉田知事は猛反発しながらも結果的に了承した経緯がある。再稼働そのものも「自分の存在感をアピールできれば、最終的には受け入れるだろう」(政府筋)とみられていた。

 ところが、都知事選の結果、全国の消費電力の1割を占める都が「脱原発」を強く打ち出せば、「泉田氏は振り上げた拳を下ろせなくなる」(エネルギー大手首脳)。経済産業省幹部も「再稼働が著しく遅れるようなことになると、再建計画に一定の影響が及ぶのは避けられないだろう」と懸念する。

 都は1951年の東電設立時から東電株を保有。現在も4267万株を持ち続けている。

 福島第1原発の事故後、東電の大株主だった第一生命保険や日本生命保険が持ち株の一部を売却したため、2012年3月末時点で都が筆頭株主(保有比率2.66%)に躍り出た。都の影響力は増し、株主総会では東電病院の売却を要求。東電は同病院の売却を決めた。

 しかし、東電はその後に実質国有化され、政府の原子力損害賠償支援機構が発行済み株式総数の55%を握る。現在、都の保有割合は1.2%(4位株主)で、東電の経営に口を挟める余地は小さくなった。

 それでも、細川氏の立候補表明が伝わった後、東電の株価は一時的に急落した。再稼働できなければ、1基当たり年間1000億円もの利益が吹き飛ぶからだ。

 東電幹部は「都知事選の立候補予定者が、東電の経営にマイナスとなる脱原発を掲げるのはいかがなものか」と疑問を投げかける。

 都知事選の動きが、国のエネルギー政策そのものに影響を与える可能性もある。原発の重要性を明記した「エネルギー基本計画」の閣議決定は当初の1月から先送りされる見通しとなり、茂木敏充経産相は再生可能エネルギーの導入拡大を強調するなど計画案を修正する方針を示している。だが、自民党内からは「都知事選の動向次第で原発に関する記述についても大幅に修正することが必要になる」との見方も出ている。

 東京電力の大株主(上位5名)

 株主名      保有割合

 原子力損害賠償  54.69

 支援機構   

 東京電力従業員   1.33

 持株会

 クレディ・スイス・ 1.23 

 セキュリティーズ

 東京都       1.2

 三井住友銀行    1.01

 ※2013年9月末現在。株主名の一部は略称。保有割合は発行済み株式総数ベース

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