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真っ正面で戦える トップ狙った「ヴォクシー」「ノア」の実力

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真っ正面で戦える トップ狙った「ヴォクシー」「ノア」の実力

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トヨタが発表した新型「ノア」  トヨタ自動車は、新型ミニバン「ヴォクシー」、「ノア」を今月20日から発売した。目標販売台数は合わせて月間8000台。排気量1800~2000ccクラスの7~8人乗りミニバンとして初めて本格的なハイブリッド車(HV)システムを採用し、ガソリン1リットル当たりの燃費性能は、23.8キロとクラストップを達成した。価格は218万~297万円。開発を担当した製品企画本部の水間英紀チーフエンジニアに、こだわりや狙いを聞いた。

 --ミニバン「ヴォクシー」「ノア」の開発で力を入れた点や特徴は

 「先代の2代目ノア、ヴォクシーの開発も手がけた。競合の状況を誰よりも知っていると自負している。理想のミニバンがどういうものか考えて開発を進めた。国内ミニバン市場は、2001年以降は月2万台を維持するなど堅調だ。子育てファミリーに支持されていることが要因。何を重視して購入するのかというと、デザイン、燃費、走りに加えて、室内の広さ、乗降性能、シートアレンジの3点も重要だ。5ナンバーサイズという制約のなかで、最高のミニバンにするには、と考えた場合、低床フロアであることを一番考えた。低床にすることによって、室内広さ、乗降性は格段に広くなる。超ロングランのシートレイアウトも重視した」

 「もうひとつは、ハイブリッド車(HV)にするということだった。ただ、空間を占拠するバッテリーをどこに載せるか。普通に載せると、車内でウォークスルーができないという問題も生じる。これを、運転席と助手席の間に置くことで、低床化を実現させた」

 --低床フロアを実現する難しさは

 「いかにフロア下の構成物を薄型化してレイアウトするかが開発時の課題で、苦労した。燃料タンクを縦長にしたが、縦長で偏平(へんぺい)にすれば、どんどん堆積がとれない。ガソリンタンクもあるので、薄くて縦長。燃料タンクとしての品質を満足させつつ、容量をとるのが大変だった」

 「レイアウトと性能を満足させる工夫を凝らし、情熱と執念で1ミリ単位で下げていくことを続けた。燃料タンクの部品メーカーにはに相当無理をいって作ってもらった。トヨタに入社して10年近く燃料タンクを担当したこともあり、特別、無理を承知でお願いした」

 --事前受注のHVの比率は5割程度だったと聞くが

 「HVのラインオフは、ガソリン車に比べて遅く、2月末となる。年度内の生産台数に制約がある。事前受注も、『年度内を重視するならば、ガソリン車はいかがですか』進めていることも大きい。また、この5ナンバークラスは、子供が小さいファミリーが中心。バリューフォーマネーを重視している。HVが欲しいけど、自分の使い方や走行距離を考えて、ガソリンを選ぶ人もいるのではないか。ただ、HVを設定したことで、ミニバン購入希望者の反応が違う。このクラスでHVを待っていた客も多いのも事実だ」

 --コストダウンはどう図った

 「新しい部品を合理的に多く作った。電子部品関係なんかそう。最新のアイデアとか、知見を入れた。(新しい自動車開発手法である『TNGA』トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の考え方も取り入れた。エアコンのユニットなどがそうで、それ以外にも、原価低減活動を通じて開発してきた部品も使った」

 --日産が「セレナ」でミニバン市場のトップを走る。ノア、ヴォクシーを統合して、シェアトップを狙う戦略はなかったのか

 「スポーティーのヴォクシーは、格好良さを大事にした。ノアは家族向け。受け入れられやすいよう、王道のスタイルを狙った。ノアはどちらかというと母親に好かれるデザインだったが、今回は(セレナなどと)真っ正面で戦える。統合しなくても、トップを狙えるはずだ」

 --ミニバン市場はどういう位置づけになってきた。今後、どう変わる

 「雨後の竹の子のように、なんでもかんでも3列だった時代もあるが、3列に求めるのは、室内の広さ。3列目シートもしっかり使えるミニバンに淘汰(とうた)されつつある。ミニバン市場はピークに比べれば下がっているが、安定している。一度ミニバンを買ったら、離れられない人が多いと分析している。まだしばらくミニバン市場は続くのではないか」

 --ミニバン特有の客層はあるのか

 「このクラスの客は、販売店をしっかり回って、候補のクルマを選ぶ傾向が強い。ハンドルを握る母親が試乗して選ぶことも多く、軽自動車からの乗り換える人も多い。重視するのは室内広さとともに、運転のしやすさ、視界の広さ、取り回しのしやすさも重視される。安全に関しても、衝突安全にしっかり取り組むということで、5つ星の安全装備を入れた。衝突安全システムは今回採用できなかったが、開発して早く搭載したい」

 --23.8キロという燃費は

 「ユニットはプリウスのユニットだ。プリウスと違い、空気抵抗は悪い。その分のよる数値の差は出る。ただ、ガソリンの燃費も16キロ。ほぼ従来の1.5倍。期待レベルには届いているのではないか」

 --豊田章男社長からの注文は

 「クラウンでトヨタが変わったことがアピールできた。ミニバンはボクシー、ノアで変わったと訴えられるデザインにしてくれといわれた。『ミニバンもかっこよくなったね』といわれるデザインにしたつもりだ」

 水間英紀(みずま・ひでき) 横浜国大工学部卒。1985年、トヨタ自動車入社。実験部で、ライトエースの性能担当、燃料タンクの機器、強度実験、エンジンマウント、シャシー部品、生産技術を経て、現職。製品企画部では、2代目の「ヴォクシー」「ノア」も手がけたほか、「エスティマ」「ウィッシュ」も担当。52歳。石川県出身。

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