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【クルマ人】こだわりの新型アクセラ「世の中のHVとは考え方が相いれない」
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新型アクセラを紹介するマツダの猿渡健一郎商品本部主査 マツダが21日に全面改良して発売する主力乗用車「アクセラ」は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンモデルに加え、同社として初のハイブリッド(HV)モデルを用意した。
HVシステムはトヨタ自動車の供給だが、「人馬一体」を理想としたマツダらしい走りを目指し、細部まで工夫した。新型アクセラの開発責任者である商品本部の猿渡健一郎主査にその狙いを聞いた。
「アクセラは今年生誕10周年。マツダの生産台数の3割強を占める主力車種だ。3代目になる今回、デザインは高速で走るチーターのバランスの良さ、力強さを取り入れた。ドライビングは意のままに車を操れるよう、人間工学から心理学まで研究した。いまもっている最新の技術をクラスの概念を超えて惜しみなく投入した車だ。今年これ以上のものを出せといっても出せない」
「世の中にあるHVはわれわれの考え方と相いれない。アクセルを踏んだとき車速が上がっても音の変化がない、ブレーキも思った所でぴたりと止まれないなど、滑らかじゃない。エモーショナルで運転するのが楽しい車にするために、新開発したエンジンをHV向けに改良した。
「ガソリン車と変わらずに走り、止まれる車。それがすでにHVに乗っているお客さまの期待に合うかどうかは分からないし、『HVじゃない』といわれるかもしれない。でも、われわれはこれがいいと思う。理解していただけるお客さまに乗ってほしい」
「『人馬一体』の走りを実現するため心理学や人間工学の要素を取り入れた。例えばコップの水を持つとき、われわれは経験からあらかじめ重さを予想して『構え』る。重すぎたり軽すぎたりすれば違和感を覚える」
「運転でも、車を加速させるとき頭を支えるため無意識に首の筋肉を緊張させる。研究の結果、アクセルを踏み込んでから0.3秒後に負荷を感じられると最も心地良いことが分かり、そのタイミングで重力がかかるよう調整した。シートも機能とデザインも大幅に改善。人間を正しく座らせ、コーナーを曲がるときしっかりサポートしてくれる。ドライバーに正しい情報を与え、運転時に正しい反応が返ってくるようにした」
「こうあるべきだという理想像が今回できた結果だ。これから開発する車にもフィードバックさせたい。いいものができたらみんなで展開すべきだから」
「『HVはいやだ』という人だっているかもしれないし、お客さまのために選べるようにしなければならない。いきなり電子デバイスに走るのではなく、内燃機関や軽量化などの基礎を固めたい。HVありきでは日本だけでしかメリットがないが、内燃機関がしっかりしていれば世界中に販売できる強みがある」
「25~40代。いろんなことにチャレンジしているが、まだ自分の立ち位置を確立できていない。シングルまたはカップル、子供がいても小学校入学前というイメージだ」
「競合車種の想定は作らなかった。アクセラはあまたある競合車のなかから比較されて選ばれる車にはしたくなかった。それに、比較評価で作ると、どうしてもいいとこ取りでボケた車になる。ただ、ステアリングを考えるときはポルシェを想像するとか、手塗りならそれだけで数百万円かかるような塗装を日本人の技術力でなんとか量産品で提供できないかとか、参考にした車はある」