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「あべのハルカス」グランドオープン 思いは一つ「阿倍野に活気を」

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「あべのハルカス」グランドオープン 思いは一つ「阿倍野に活気を」

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 「阿倍野がキタやミナミに並ぶ大阪の拠点になってほしい」。7日、グランドオープンを迎えた「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)には、地元住民たちからも大きな期待が注がれている。完成までの間、連日写真を撮り続けた少年。新メニューを考案する商店主…。大阪の新名所と期待される高さ300メートルの日本一の高層ビルの誕生におひざ元も沸いている。

 残り100日を皆勤

 同市阿倍野区内に住む多田晃佑(こうすけ)さん(18)は、開業100日前からオープンまでの間、ハルカスの姿を毎日写真に収めてきた。「毎日ハルカスを撮ることで全面開業への興奮が高まった」と話す。

 地元に日本一の建物ができると知り「何か記念に残したい」と思い立ち、ビル壁面に表示される開業までのカウントダウン日数を入れて撮影を続けたという。

 高校から帰宅すると、カメラと三脚を持って撮影スポットの天王寺公園(同市天王寺区)へ。雨の日も雪の日も足を運び、長い日は1日3時間ファインダーをのぞいた。

 空気の澄んだ日は残り日数が夜空に映え、もやの日は上層部分が見えなくなる。「100日間で同じ日はなく、それぞれ違った姿が見られた」と日に日に愛着が深まっていった。

 「開業後もいろいろな表情を撮り続けたい」と話す多田さん。春から通う大阪電気通信大では情報工学を専攻し、将来の夢はウェブデザイナーだという。「ハルカスだけじゃない阿倍野の魅力を知ってもらえるようなウェブサイトをつくりたい」と意気込んでいる。

 阿倍野を“目的地”に

 ハルカスのすぐ南にある喫茶店「パールズ」は昭和25年に創業した老舗店。合併で消滅したプロ野球球団「近鉄バファローズ」の前身の球団名から名前を取っており、ハルカスを建設した近畿日本鉄道とのゆかりもある。1月末からは高さ300ミリの「パフェハルカス」を考案し、地元の雰囲気を盛り上げてきた。

 「これまでの阿倍野は乗換駅などの通過点だった」と話す3代目店長の和田真一さん(39)は、「ハルカスの誕生で、阿倍野は今や目的地。ハルカスと地元が協力して日本を代表する目的地にしていきたい」と話した。

 自慢の一杯で花添え

 阿倍野で約50年間バーを営む「Mr.TANAKA」のバーテンダー、田中光男さん(77)は、開業直前の今月5日、地上から見上げたハルカスとその先に広がる青空をイメージしたカクテル「ブルーハルカス」をメニューに加えた。「必ず気に入ってもらえると」と確信する自慢の一杯だ。

 18歳の頃、阿倍野でバーテンダーの見習いを始め、29歳で独立した田中さんは、再開発が進む街並みを長年見てきた。ハルカス開業は「街のイメージが変わる今までにないチャンス。日本一高いビルがある場所として日本だけでなく世界から注目を浴びる」と期待を込める。地元に支えられてシェーカーを振ってきただけに「ハルカス周辺だけでなく、阿倍野全体に活気が生まれてほしい」と願いを込めている。

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