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伊ピレリ、世界で進める「プレミアム戦略」 日本でも推進

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伊ピレリ、世界で進める「プレミアム戦略」 日本でも推進

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ジュネーブモーターショーでは、多くのプレステージカーがピレリタイヤを装着して登場  ■最上級モデル適応 安全性+パフォーマンス

 プレミアムカーに多く装着され、F1などのモータースポーツにも長く携わってきた、イタリアのタイヤメーカー「ピレリ」。先日行われた「ジュネーブモーターショー」では圧倒的な存在感を示した。また、ユニークな方法でファイナンシャル・ステートメントを発表していることも話題となっている。飛躍を続ける同社の最新の戦略について、ピレリジャパン代表のジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏に話を聞いた。

 「ジュネーブモーターショー2014」でプレステージカーの6割以上がピレリタイヤを装着 

 --「ピレリ」の特徴は

 「ピレリブランドを語るうえで、自動車レースのフォーミューワン(F1)世界選手権は避けられない。100年以上、モータースポーツに携わってきてスポーツや高級車(プレミアム)カテゴリーに強みをもっている。また、アートとタイヤをつなげたピレリカレンダーも50年にわたり制作し、世界中の要人などにプレゼントしていることも大きな財産となっている。ピレリブランドは、こうしたアプローチをとっているところが他メーカーと決定的に違うところだ」

 --欧州では圧倒的な存在感を誇っている

 「ピレリブランドは世界的に『メルセデス・ベンツ』や『BMW』『アウディ』などのプレミアムカテゴリーやプレミアムカスタマーに強く、しかも今、高級車の販売は上昇基調にある。メーカーによる標準装着率は、『フェラーリ』や『マセラティ』という高級スポーツカー(プレステージカー)カテゴリーでは欧州で50%を占め、プレミアムカテゴリーでは20%となっている。また、今月開かれたスイスでのジュネーブモーターショーに出展された車では、プレステージカーの6割以上、プレミアムカーの3割近くに装着され、いずれも最多だ。プレミアムカーでは、当社に次いで標準装着率が高かったメーカーは19%だった」

 --日本市場の位置づけと事業拡大策は

 「全世界販売のうち、日本が属しているアジア太平洋地域は8%。日本では長く日本企業との合弁で対応してきたが、年々、その存在感を増しており2005年にピレリジャパンを設立した。日本市場では、今後、国産プレアムカテゴリーに触手を伸ばしていく。プレミアムカテゴリーの『Cinturato』シリーズにはP1-P7というラインアップがあって、日本車用サイズを網羅し、軽自動車用サイズもある。ただ、日本では高級車だけに限らずターゲットの裾野は広げていく考えだ」

 --販売店戦略は

 「プレミアムカテゴリーに興味をもつエンドユーザーに、ピレリブランドの価値をしっかり伝えていくことが重要だと考えている。日本ではタイヤの大口径化が進みチューニングも盛んに行われていることから18インチ以上のタイヤ販売にも力を入れていく。また、日本で販売が伸びている軽自動車用のサイズもおろそかにはしていない」

 --国産メーカーは近年、環境に優しいエコタイヤに力を入れている。エコタイヤに対するピレリの戦略は

 「Cinturatoシリーズは、環境配慮型タイヤでもある。このシリーズのタイヤは、エコでありながらタイヤの高い性能をもっていることが特徴だ。実際、多くの海外メーカーがCinturatoを選んでいる。他メーカーと最も違う点は、環境配慮型タイヤでありながらグリップや操舵性、ブレーキングという性能が優れているところだ。万一の時の挙動が確実で、制動要求に応える。近く欧州で実施したタイヤテストの評価も公表する予定で、こうした優れている点をしっかりと訴えていきたい」

 --日本では近年、若者層の車離れが進み、自動車メーカーなどがさまざま啓蒙活動を実施している。若者に興味をもたせるための活動は考えているか

 「ブランドとのリンクを浸透させていくことが、その一助になるかもしれないと思っている。当社は、F1にレース用タイヤを供給しているが、今年、小林可夢偉が復帰したことでF1への注目度が再び高くなる。また、本社があるイタリアでは、サッカーチームの『インテル』とスポンサー契約を結んでいる。インテルには長友佑人が所属している。過去には、日本向けスタッドレスタイヤのイメージキャラクターとしてフィギュアスケートの安藤美姫選手や長友佑人選手を起用したこともある。活躍する日本人とリンクづけすることで消費者にブランドを印象づけていく」

 ■ジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏のプロフィル

 ボッコーニ大(イタリア・ミラノ)ビジネス経済学部卒。2003年ピレリタイヤ(ミラノ)入社。07年からピレリジャパンで、プライシング&プランニング・マネージャー、オペラティブ&トレード、マーケティング&サプライチェーンダイレクターなどを務め、10年ピレリタイヤ・アジアパシフィック(中国・上海)マーケティングダイレクター。14年1月から現職。35歳。レッコ(ミラノ郊外)出身。

 「ジュネーブモーターショー」でも存在感

 世界でも最大級の自動車業界のイベント「第84回ジュネーブモーターショー 2014」が、3月6日~16日に開催された。今回は、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、アストンマーチンなどのプレステージカーが数多く発表され、そのうちの64%がピレリタイヤを装着。これは2013年実績比で12%増と、ピレリ装着車両は過去数年間で顕著な上昇傾向を示している。

 また、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどのプレミアムセクターにおいても、ピレリタイヤの装着率は27%を超えてトップに。装着率19%の2位の競合メーカーを引き離し、大きな注目を集めた。

 会場では、各メーカーから発表される新型モデルが、各モデルの要求性能をクリアしたピレリの「P Zero」や「Cinturato」タイヤを装着して登場。「P Zero」タイヤは、快適なドライビングと、サーキットでの走行も想定して開発されたスポーティーな性能を両立している。

 一方「Cinturato」は、性能と安全性はもちろん、素材の工夫や転がり抵抗を抑えることでクルマのCO2排出量を削減するなど環境に配慮したシリーズ。中でも「Cinturato P7」は、中~大排気量の車種向けで環境対応の高いパフォーマンスを誇る。コンパウンド内のナノ・フィラーや特性のポリマーによって環境への影響を抑え、タイヤの軽量化を推進。数々の国際的なタイヤテストでも評価されてきた。

 「P Zero」は07年以降ジュネーブ・モーターショーまでの累計で380車種の承認を獲得している。「Cinturato」もわずか5年で170のモデルに採用されるなど、記録的な伸びを示した。ピレリのコンセプトと製品は、最上級モデルの性能に適応する先進的なタイヤを常に求めている多くのプレミアムカーメーカーによって支持されている。

 2013年度ファイナンシャル・ステートメント“車輪の回転” 創造性、直感、情熱…を発信

 多くのプレミアムカーにタイヤを供給するピレリは、アニュアルレポートの発信にも工夫とセンスが光る。一般的なファイナンシャル・ステートメント(財務レポート)は、企業の経営状況を数字のみで発表するのが一般的だ。これに対してピレリは、ユニークなプロジェクトを通して表現することが伝統となっている。

 2011年は、イラストレーターのStefan Glerumと、作家のHans Magnus Enzensberger、Javier Cercasの作品を通して、日常に存在する価値の意味を表現。12年は、世界中の若い大学生による未来の価値を表現した言葉が、“New Yorker”に漫画を掲載しているライザ・ドネリーのイラストとともにファイナンシャル・ステートメントで発表された。12年アニュアルレポートの“Imagining the future with…”プロジェクトは、その優れた作品性からTDC(タイプ・ディレクターズ・クラブ)のタイポグラフィック・エクセレンス賞を受賞している。

 そして、13年度のファイナンシャル・ステートメントは、「スピニング・ザ・ホイール(車輪を回転させる)」プロジェクトが実施された。1月30、31日、ミラノのピレリ財団にコーディネーターとして招聘された、英国出身の作家で劇作家のハニフ・クレイシ氏。そして、建築から物理学、デザインや音楽そして、アニメーション映画やファッションにわたるさまざまな分野で、世界的に活躍する新進気鋭の10人のスペシャリストたちが集まった。

 ここでは、彼らがタイヤとは関連のない世界からスタートして“ホイール(車輪)を再考案する”という目的に向かって連携するというワークショップを実施。「スピニング・ザ・ホイール(車輪を回転させる)」と題した、ピレリの13年度ファイナンシャル・ステートメントに基づくコミュニケーションプロジェクトの基礎が形成された。

 “車輪を回転させる”とは、あらゆる企業が、自社の製品やサービスの最良な開発を目指し、常に新しい方法を模索することをタイヤメーカーらしい表現で例えている。ピレリも、自動車機能の進化に対応しながら“車輪を回転”させ、素材、デザイン、性能など、さまざまな工夫を繰り返して製品が作られている。

 ワークショップ「スピニング・ザ・ホイール」では、製品を具現化するための、創造性、直感、コミットメント、粘り強さと情熱にフォーカス。さまざまな分野で才能を発揮している若者たちの発信の中から、企業としてのさらなる飛躍に向けたテーマについて探求された。

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