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「廃炉時代」迎える原発の実態 3分の1が運転30年超
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運転開始から40年に近づく原発について、電力各社が廃炉の検討を始めている。運転期間を原則40年に制限する国の規定に照らせば、全国48基の商業用原発のうち3分の1に当たる16基は運転30年を超え「老朽化」を迎えている。こうした原発の運転を延長するには、現在の原子力規制委員会による安全審査よりも遙かに高いハードルが要求される。今後、原発の選別は加速する見通しで、再稼働審査の影で「廃炉時代」を迎えている実態が浮かぶ。
中国電力は、29日に運転40年となった島根1号機(松江市)について「廃炉にする選択肢もある」(苅田知英社長)と言及。四国電力も36年の伊方原発1号機(愛媛県)について「あらゆる可能性を捨てずに検討していく」(千葉昭社長)と、廃炉もあり得るとの考えを示した。
国内では他にも高度成長期ごろに相次いでできた原発が老朽化を迎えている。日本原子力発電敦賀1号機(福井県)は運転開始から44年、関西電力美浜1、2号機(同県)もそれぞれ43年、41年を迎える。
東日本大震災後に改正された原子炉等規制法では、原則40年での廃炉を規定。40年を超えて原発を運転する場合は、昨年7月に施行された新規制基準に照らし安全審査を通過することが条件となる。
その上で、「特別点検」と呼ばれる厳重な検査を実施し、平成27年4月から7月の間に点検結果を規制委へ報告する必要がある。そのハードルをクリアすれば、20年の運転延長が認められることになる。
だが、厳しい基準をクリアするには老朽原発も設置から新しい原発も同じであるため、電力各社は新しい原発を再稼働の安全審査に出す傾向にある。
昨夏の新基準施行後に安全審査の申請がでたのは、古いもので29年経過した九州電力川内原発1号機(鹿児島県)と関電高浜原発3号機(福井県)で、大半は20年前後だ。老朽原発の安全対策に巨額の費用をかけるよりも新しい原発の再稼働を進めたいという思惑もある。
一方で、電力会社が早期に廃炉を決定すれば、巨額の損失を計上しなければならない。国は昨年、会計制度を見直し、損失を費用として分割計上できる仕組みを作ったが、それでも損失額は大きい。再稼働を目指す電力各社は原発の選別を迫られるジレンマを抱えている。(原子力取材班)