【開発物語】「チェキ」女性ニーズつかみV字復活 一時は存亡の岐路に
更新富士フイルムはチェキの販売回復を受け、神奈川県南足柄市の工場のフィルム生産ラインを増設するなど、フィルム事業の勢いを取り戻した。
近年、カメラ付き携帯電話に加え、玩具メーカーによるトイカメラも台頭。チェキのライバルは増えるが、中村さんは「これからも写真の楽しさを伝えたい」と意気込んでいる。
ファッション重視の戦略奏功
≪TEAM≫
開発チームのこだわりは、2012年11月発売の「instax mini8」にも受け継がれている。
「フィルムのカメラは過去のもの、と認識する若い女性に使ってもらうことを意識した」(山本真郷グローバル商品企画リーダー兼ブランド・マネージャー)。カラーバリエーションを白、黒に加え、パステル調の桃、青、黄の5色と、従来のチェキでは最も多くした。
特にこだわったのは製品の外箱だ。箱には普通、カメラ本体が大きく映っているものだが、チェキではあえてカメラの全部を見せず、写真家の米原康正氏が撮影した女性モデルを前面に配した。鷹野祐太・グローバル商品企画担当は「チェキで撮れる写真の世界を表現したかった」と話すが、「カメラが全部映っていない」など、社内の一部からは否定的な見方があったという。




