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金属労協、ベア要求「6千円以上」 平成27年春闘方針で17年ぶり高水準 経営側は「一律」に難色
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平成27年の闘争方針について説明する金属労協の幹部=12日、東京都港区(黄金崎元撮影) 来年の春闘で多くの産業別労働組合が、賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)について、17年ぶりの高水準となる要求を出す見通しだ。自動車や電機などの労組で構成する全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は12日、6千円以上のベアに相当する賃金改善を要求する方針を正式決定した。ただ、消費税率10%の時期が延期されるなど、景気の先行きに不透明感が漂う中、労使交渉の行方は混とんとしている。
■消費拡大に“大義”
「デフレ脱却と経済の好循環を実現し、勤労者の生活を守る」
12日の協議委員会で金属労協の相原康伸議長は、執行部案をまとめた「基本的な考え方」についてこう説明した。6千円以上は平成10年以来の高水準で、傘下の自動車総連や電機連合も足並みをそろえる方向だ。
6千円は、一般的労働者の標準的な月例賃金の約30万円からみると2%に相当する。上部団体である連合が2%以上のベアを求める闘争方針を掲げたことを踏まえた。
各労組の強気の背景には、個人消費を活性化して景気改善やデフレ脱却につなげる政府方針と合致しているという“大義名分”があるようだ。円安の恩恵を受け、自動車を中心に企業業績は改善基調にあり、従業員に還元すべきだとの主張をしやすい。
■格差是正も課題
4月の消費税増税などで、物価の変動を考慮した実質賃金が減少している現状も賃上げ機運を高めている。今月2日に発表された10月の実質賃金は前年同月比2・8%減で、16カ月連続のマイナス。金属労協は「家計の低迷が景気回復の足かせだ」(相原議長)と主張する。
また、大企業と中小企業の社員の「格差是正」も求められている。26年春闘で「1%以上」を要求した金属労協は来年については月額で提示した。「月額の比率にすると賃金水準が高いところは高く、低いところは低くなるが、金額なら格差は改善する」(浅沼弘一事務局長)からだ。
中小企業でつくる「ものづくり産業労働組合」は、ベア月額9千円を賃金改善基準とする方針。中小企業の賃金改善幅が大きくなれば、格差是正に寄与すると期待できる。
■企業はあくまで「賞与」
経団連の榊原定征会長は8日、賃上げについて「経済界は、デフレ脱却、経済の好循環のために積極的に対応する」と述べた。一見、政労使が同じ方向に向いているようにも見えるが、“各論”では必ずしも一致しない。海外企業との厳しい競争を勝ち抜くために能力給の導入を進める企業側は、一律に賃金を上げるベアには消極姿勢。「好業績を反映させるのはあくまで賞与」との考え方も根強い。榊原会長が「ベアありきではない」と強調するのに対し、労組側はデフレ脱却に効果があるとして、ベアの必要性を強調する。
経営環境の先行きに不安があると、企業側はコストの増大につながるベアに踏み切りにくい。労組幹部は「景気が悪い中での交渉は厳しくなる」と警戒する。