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「親の都合」大丈夫? 日本郵政上場計画…金融2者の少数株主、権利保護が焦点

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「親の都合」大丈夫? 日本郵政上場計画…金融2者の少数株主、権利保護が焦点

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 日本郵政とゆうちょ銀、かんぽ生命の「親子上場」について、株式市場の関係者からは「個人投資家を呼び込む起爆剤になる」と市場の活性化を期待する声があがる。ただ、金融2社の株式の大半は、当面、日本郵政が持ち続ける。不当に親会社が利益を吸い上げることのないよう、少数株主の権利保護が焦点となる。

 野村証券によると、国内の親子上場は平成18年度末の417社をピークに年々減少し、今年9月末時点では285社にとどまる。グループ再編の強化を狙って子会社を上場廃止にする動きが広がったためだ。

 親子上場は親会社の都合で子会社が不利な取引を強いられ、子会社の少数株主の利益が損なわれる懸念も指摘される。「さまざまな局面で親子会社の利益相反は発生しうる」(金融大手幹部)という。欧米では親子上場は少なく、海外投資家が日本市場の特異性と批判する声も少なくない。

 野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは「親子上場の場合、コーポレートガバナンス(企業統治)の透明性が特に重要となる。投資家がきちんと企業価値を判断できる体制が求められる」と指摘する。

 3社の初回売却比率は全株式のそれぞれ1割程度にとどまる見通しだ。慶応大の小幡績准教授(企業金融)は「少数株主の意見は尊重されにくい。全株式の5割を売却するまで重大なアクションは控えるなど、親会社の権限に歯止めをかけるべきだ」と注文をつけた。

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