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女性にウケるスープ用魔法瓶 “牛丼大盛り”サイズで男性のハートも?

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女性にウケるスープ用魔法瓶 “牛丼大盛り”サイズで男性のハートも?

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 温かいスープや、つゆのある丼ものを持ち運ぶ弁当箱として、スープ用魔法瓶が脚光を浴びる。完成したスープをただ入れるだけでなく、保温力の高さによって、持ち運ぶ間にじっくりと具材に熱を通す「保温調理」もできることが、女性の心をつかんだ。さらに男性層の胃袋も狙ってメーカー各社が大容量タイプの“牛丼大盛り”サイズを投入し、市場拡大を図っている。(石川有紀)

 意外な使われ方

 スープ用魔法瓶ブームの火付け役は「真空断熱フードコンテナー」を平成21年に発売したサーモス。「コンビニエンスストアでもカップスープが定番化し、弁当用にスープを持ち運ぶ需要があるとみて発売したところ、意外な使われ方で注目され始めた」と同社の広報担当者は打ち明ける。

 意外な使われ方とは「保温調理」のことだ。同社製品で一番小さい容量0・25リットルでも6時間、58度以上の保温効果が続く。

 この保温力を生かし、朝に野菜や肉などスープの材料と熱湯を入れ、持ち運ぶ数時間の間に具材に熱を通し、昼にはスープが完成する-という新たな利用法で、料理研究家らがレシピ本を次々と出版し、ブームを牽引(けんいん)した。

 同社のフードコンテナーの25年度の出荷数は前年度比約50%増。「利用者の約3人に1人が男性となり、従来品では容量が小さいという声に応えた」(同社広報)といい、9月には男性向けに0・5リットルの大容量タイプを発売し、5つのサイズを展開している。

 楽しみ方提案

 健康志向の女性たちの間でスープ用魔法瓶のブームが広がったことから、象印マホービンも24年から「フードジャー」として3種類をラインアップ。今年8月には男性向け大容量の0・45リットルと0・55リットルの2種を発売した。

 商品企画を担当する美馬本勝(みまもと・まさる)さんは「スープでは物足りない男性に丼モノにも使えると伝えるため、牛丼の“並盛り”と“大盛り”相当と表現した」と話し、男性からの需要拡大を目指す。

 さらにレシピ投稿サイトを運営するクックパッドと共同で、フードジャーを使ったオリジナルレシピを開発。保温力を生かして米と鶏肉、調味料と熱湯を入れて2時間後に完成する中華がゆや、逆に保冷力を利用して粉ゼラチンや市販のアイスキャンディーを入れて2時間でつくれるゼリーなどを提案している。

 美馬本さんは「一人分を手軽に調理できるレシピを提案することで、認知度を高めたい」と話す。

 拡大余地大きく

 クックパッドのサイト上でも、「スープジャー(スープ用魔法瓶)」のキーワード検索件数が前年を上回り続けているという。クックパッドの草深由有子(ふかくさ・ゆうこ)副編集長は「健康志向などに加え、保温調理というこれまでにない新しい調理方法による楽しみもスープジャー人気の理由ではないか」とみている。

 象印マホービンの推計によると、スープ用魔法瓶の業界全体の販売数は22年に20万本だったが、25年には275万本と10倍以上に拡大。26年は330万本とさらなる伸びが見込まれる。それでも売上高はまだステンレス水筒の10分の1程度で、各社とも需要掘り起こしの余地は大きいとみる。

 手軽な調理法と“牛丼大盛り”サイズで男性の胃袋もつかめるかが、今後の市場拡大のカギとなりそうだ。

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