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スマートグラスに注目…セイコーエプソンの先進的なウエアラブル端末
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「MOVERIOBT―200」を手にしたセイコーエプソンの津田敦也ビジュアルプロダクツ事業部HMD事業推進部長 「カラリオ」のブランドに代表されるように、セイコーエプソンというと、どうしてもプリンターのイメージが強い。しかし、同社には、「省・小・精」の技術を基盤としたマイクロピエゾ技術、マイクロディスプレー技術、センシング技術、ロボティクス技術の4つのコアテクノロジーがあり、それらを活用したプリンティング、ビジュアルコミュニケーション、生活の質向上、ものづくり革新の4つの領域で事業を展開している。中でも最近、話題を集めているのが、ビジュアルコミュニケーション領域の中核をなすスマートグラスだ。
頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、各社からさまざまな製品が出されているが、昨年6月に発売された同社の「MOVERIO(モベリオ) BT-200」は、メガネのように掛けて使うウエアラブル端末。ヘッドセット部の重量はわずか88グラムで長時間装着していてもストレスを感じさせない。実際に着けてみると、眼前に高精細の大画面が広がる。手軽に持ち運べるため、どこでもパーソナルシアターにすることが可能だ。遠くを見れば見るほど大画面となり、5メートル先なら80型相当、20メートル先なら320型相当の大画面が楽しめる。また、シースルータイプのため、画面と同時に周囲の状況も確認できる。
プラットフォームには、Android 4.0を搭載し、単体でWebブラウジングやネット動画などが楽しめるほか、スマートフォンやタブレット端末内のコンテンツをワイヤレス接続で視聴できるMiracastをサポートしている。また、ジャイロ、加速度、地磁気などの各センサー、30万画素カメラ、GPS機能、Bluetoothを備えており、単体でさまざまなアプリの利用が可能だ。ワイヤレスミラーリングアダプターを使用すれば、HDMI接続対応のレコーダーなどに録画したコンテンツをワイヤレスで視聴できる。もちろん、3Dにも対応しており、あたかもそこにあるかのような立体映像が楽しめる。
この「BT-200」について、同社の津田敦也ビジュアルプロダクツ事業部HMD事業推進部長は「エプソンが培ってきたマイクロディスプレーやプロジェクターで使われるレンズ技術を応用したものです。『われわれが持つコア技術の組み合わせを変えていけば、違う製品が生まれるのではないか?』と考えたのが開発のきっかけです。また、液晶のタブレットやスマートフォンは、すでにあの手この手をやり尽くした感があるところに、やはり、外で大画面を見るニーズは今後増えるだろうと。その2つのポイントで開発がスタートしました」と話す。
開発にあたって最も苦労したのは、「シースルーを維持しながら、いかにして映像光を目に持っていくか」だった。それでも、初期モデルの「BT-100」の開発にかかった時間はわずか1年半。津田HMD事業推進部長は「いろいろと課題はありましたが、コア技術と生産技術がもともと社内にあり、既存のインフラを活用できたのが時間短縮につながった一番の要因です」と話す。
初期モデルから2年半後に発売された「BT-200」は大幅な軽量化を実現。この革新性が評価され、昨年の「CEATEC JAPAN 2014」(最先端IT・エレクトロニクス総合展)のライフスタイル・イノベーション部門でグランプリを受賞した。
このスマートグラスが持つ可能性は無限に広がる。「単にパーソナルシアターやゲームなどの個人ユースにとどまらず、AR(拡張現実)を利用した教育現場や物流現場での活用、内蔵カメラを用いた遠隔・作業支援などで、すでに実証も始まっています」と津田HMD事業推進部長。今後はさらなる軽量化を目指すとしており、スマートフォンやタブレット端末が時代遅れになるのも、そう遠いことではないかもしれない。
同社のコアテクノロジーを紹介するオリジナルアニメーションは下記のサイトで公開されている。http://www.epson.jp/technology/core_technology/introduction.htm