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東電賠償、想定より1兆円増加 総額7兆753億円の見通し
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東京電力は29日、福島第1原発事故の賠償総額が従来の想定より約1兆円多い約7兆753億円になるとの見通しを発表した。近く改定する新総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む。政府による支払い終了時期の明示を受けて算定し直したもので、想定される賠償額の全体像がほぼ見えてきた。
東電は今後、国が肩代わりしている賠償資金を着実に返済するため、一層の収益力強化が求められる。
東電は、国や電力各社が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じ、国から賠償資金の支援を受けている。東電は29日、支援額の増額を機構に申請した。これを反映させた再建計画の改定を近く機構と連名で経済産業相に申請し、認定を受ける。
東電は、4月に一部改定した再建計画で、賠償総額を約6兆1252億円と見込んでいた。だが今月12日、政府が復興指針を改定し、商工業者への営業損害の賠償は2016年度分、避難者への慰謝料の支払いは17年度分までで終えると決めたことを受け、改めて賠償額を計算。除染費用の増額分も含め計9500億円膨らんだ。
東電は国からの支援資金について、機構に「特別負担金」を支払うなどの形で返済を続けている。特別負担金は東電の経常利益から出すため、返済を確実に進めるには「サステナブル(持続可能)な黒字化が必要」(東電関係者)だ。
ただ16年4月から電力小売りが全面自由化され、ほかの電力やガス大手などとの競争が激しくなる。柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働も見通せないまま、電気料金の価格競争に突入すれば赤字に転落し、返済原資を捻出できないことも危惧される。
東電は、携帯大手ソフトバンクといった異業種との連携を進めるなどしているが、今後、どこまで収益基盤を強化できるか課題を突きつけられている。