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大震災後の噴火、最大の懸念は「富士山」 避難最大75万人に

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大震災後の噴火、最大の懸念は「富士山」 避難最大75万人に

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富士山が大噴火した宝永時代の名残りの噴火口  内閣府の有識者検討会が大きな噴火への広域避難体制整備などを早急に進めるよう国に求めた。火山防災の強化が急がれる背景には、東日本大震災で大規模噴火が誘発されることへの警戒感がある。世界で20世紀以降に起きた計5回のマグニチュード(M)9級の巨大地震では、その後に例外なく周辺で大噴火が起きているからだ。

 日本でも9世紀に東北地方で貞観(じょうがん)地震(M8・4)が起きた後、鳥海山(秋田・山形)の噴火や十和田(青森・秋田)の大規模噴火が発生。大震災以降は列島の地殻活動が活発化し、浅間山(群馬・長野)や箱根山(神奈川)など20火山で地震の増加が観測された。

 中でも今後の活動が注目されるのは富士山だ。1707年に南海トラフの大地震に連動して大規模な宝永噴火が発生して以来、約300年間にわたって静穏期が続いており、次の噴火に向けてマグマが蓄積されている可能性が高い。

 現在は差し迫った状態ではないが、検討会座長の藤井敏嗣東大名誉教授は「富士山は過去3200年で約100回噴火しており、300年も休んでいるのは異常事態。前兆から噴火まで場合によっては数時間と短いため、迅速に避難するための訓練が必要だ」と指摘する。

 こうした状況下で静岡、山梨、神奈川の3県と国などでつくる協議会は今月9日、富士山の噴火時に周辺住民を危険度に応じて段階的に避難させる広域避難計画を決定した。溶岩流などが到達する可能性がある静岡、山梨両県の15市町村を5つのゾーンに分け、順次避難させる計画で、両県で避難対象は延べ最大75万人に上ると推計した。

 静岡県の防災担当者は「世界文化遺産登録に向けて避難対象者の増加も考慮する必要がある。今年度中にも具体的な避難手段などのシミュレーションを作りたい」と話す。

 提言で観測態勢の強化が指摘されたように、火山観測の現場では専門家や研究費不足が深刻化している。

 「毎日、山の顔色を見ている研究者がいるだけで予測精度に大きな差が出る。それなのに最近は現場に密着した研究者が減る一方だ」。噴火予知で活躍、北海道・有珠山のホームドクター(かかりつけ医)と呼ばれた岡田弘北海道大名誉教授は危機感を募らせる。

 気象庁が常時観測対象に指定した火山は全国で47あり、遠隔カメラや地震計で24時間監視している。

 一方、全国の国立大で観測、研究に携わる研究者は40人程度。山麓に専門家が常駐して継続的に観測しているのは有珠山や桜島などに限られる。

 岡田名誉教授は「目に見えやすい成果を重視するあまり、若手研究者が育つ余地がなくなっている」と指摘した。

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