ニュースカテゴリ:社会
話題
転嫁拒否防げ、政府「3カ月が鍵」 中小企業調査や啓発イベント 消費増税1カ月を前に
更新
4月1日の消費税増税から1カ月を前に、大企業が取引先に対して増税分の価格転嫁を拒むなどの違反行為を撲滅しようと政府が対応を強化している。中小企業や大規模小売業者を対象に実態調査を始めたほか、転嫁対策の啓発イベントを全国で開くなど、6月までに集中的な施策を講じる。大手企業の違反行為も明らかになる中で、経済産業省中小企業庁は「税率引き上げから3カ月間が転嫁対策の鍵を握る」と対応を急ぐ。(三塚聖平)
「中小企業や下請けなど弱い立場にしわ寄せがいかないよう監視している」
29日午後、埼玉県蕨市の「中仙道蕨宿商店街」で、経産省の田中良生政務官が買い物客らに転嫁対策の重要性を訴えた。中小企業庁は3月31日から5月下旬までの予定で、同様の周知活動を全国49カ所で開催している。参加した転嫁対策調査官(転嫁Gメン)は「増税後の取引が実際に始まり、中小企業から『ちゃんと価格転嫁できるか心配だ』という相談を受けた」と打ち明けた。
昨年10月に施行された消費税転嫁対策特措法では、立場の強い小売業者などが中小の納入業者と取引する際、減額要請や買いたたきにより、増税分の価格転嫁を拒否することが禁止されている。転嫁できない増税分のしわ寄せが中小企業の経営に打撃を与え、安倍晋三政権の最重要課題でもある景気回復を危うくする恐れがあるためだ。
このため、中小企業庁と公正取引委員会は今月28日から、国内の中小企業約385万社全てを対象にアンケートを始めた。増税直後の転嫁状況を把握する狙いだ。違反行為が判明すれば、転嫁Gメンによる立ち入り検査など詳しい調査を行う。
合わせて24日から大規模小売業者など約4万社を対象に書面での調査も始めた。回答拒否や虚偽回答には罰則を科すことで、回答を義務づけており「『転嫁拒否は違法だ』と啓蒙(けいもう)し、企業を牽制(けんせい)する意味合いもある」(中小企業庁)と強調する。
同日公表した価格転嫁に関する中小企業庁の調査では、増税分の一部または全部の価格転嫁が「できていない」と答えた事業者は全体の約18%にのぼる。転嫁できない理由として62・6%が「競争が激しく、価格を引き上げると他社に取引を奪われる恐れがある」と回答した。
中小企業庁と公取委は、価格転嫁の拒否行為があったとし、昨年10月から今年3月までに計1199社を指導した。今月23日には増税に合わせた安売りセールの際、納入業者に対し増税分に当たる3%前後の仕入れ価格引き下げを求めたJR東日本の100%子会社に対し、公取委が同特措法違反(買いたたき)にあたるとして、値引き分を支払うよう勧告を出した。
中小企業庁幹部は「監視を緩めずに『価格転嫁は当たり前のこと』という雰囲気を作ることが欠かせない」と述べ、違反行為の未然防止と取り締まりに力を入れる方針だ。