SankeiBiz for mobile

応募コンクール、「著作権」は誰のもの? “ユニクロT”で話題に

ニュースカテゴリ:社会の話題

応募コンクール、「著作権」は誰のもの? “ユニクロT”で話題に

更新

 カジュアル衣料品店のユニクロが、自分だけのTシャツをデザインできるサービスで、デザインの著作権をユニクロに無償譲渡すると規定したことに批判が上がり、「著作権はユーザーに帰属」と変更した。本来、作者にある著作権。身近なところにあるのが絵画や写真作品などの応募コンクールだ。中には、作品の複製や貸与、二次利用も主催者が自由にできるよう著作権の譲渡を求めるコンクールも少なくない。(村島有紀)

 コンクール?公募?

 作者(制作者)の権利を保護するため、文化庁は作品募集に際し、展覧会などで優秀作品を表彰するための募集(コンテスト、コンクール)と、主催者がキャラクターグッズを作るなど作品利用のための募集(公募)との違いを明確にするよう指導している。しかし、見分けのつきにくい要項が多い。

 インターネットでコンテスト情報を掲載している「登竜門」を見ると、5月23日現在募集中の絵画・アートのコンクールは全44件。そのうち、著作権の帰属について、作者25件▽不明11件▽大賞・入賞作品を主催者買い取り5件▽応募作品全て主催者3件(いずれも応募作品は返却せず)-だった。

 日本写真著作権協会(東京都千代田区)によると、10年ほど前から、アマチュア写真家らから「写真コンクールの応募作品の著作権は誰に帰属するのか」との問い合わせが増えた。このため、同協会が平成17年、応募要項518件を調査したところ、「応募者」と明記しているケースは2割しかなく、「主催者」は2割あった。原版返却を明記しているのは2割しかなかった。

 文化庁著作権課の担当者は「優秀作品の展示では通常、著作権の譲渡は必要ない。作品を返却せず、著作権も主催者に譲渡する応募要項は、コンクールという名でも実態は主催者が利用できる作品を集めるためではないか。特に、小さな文字で書かれた応募条件を応募者がよく理解していない場合は問題になる」と話す。

 主催者が自由に

 作品を返却せず、応募作品の著作権が主催者に帰属する募集要項は公共団体や子供向けのコンクールで目立つ。中には改変や加工など二次利用の権利を求めるものもある。主催者が著作権を所有する理由はどこにあるのか-。

 フォトコンテストを主催する自治体は「応募された写真を後で自由に使いたいから」。絵画コンクールで子供の作品を募集する東京都の団体は「絵をマグカップやステッカーのモチーフにして販売するため」。また、別の企業は「作品の返却には事務作業が多い。著作権を持っていれば処分もしやすい」とする。

 日本写真著作権協会の松本徳彦専務理事は「著作権法は創作者の名誉や尊厳、人格を尊重しようというのが基本理念。作者が大人か子供か、プロかアマチュアかは関係ない。文化発展のためのコンクールが、現状では主催者のイメージアップや自由に使える作品を手軽に集める手段になっている。主催者には『著作権は作者』として、創作者の権利を尊重してほしい」と話している。

 ■著作権に詳しい早稲田大学大学院法務研究科 上野達弘教授の話

 「最近は、全ての著作権を作者から譲渡させるため、二次利用できることを前提として、著作権法の『27条及び28条の権利を含む』と明示する契約が増えているようだ。中には深く考慮せず、既存の書式などをそのまま使ったような例も少なくないだろう。コンクールでも、二次使用を含めた著作権と所有権を主催者に譲渡する契約(応募要項)が普及すれば、応募者に著しく不利になりかねない」

ランキング