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吉田調書報道、なぜ朝日は誤ったのか 「思い込み」で裏付け取材なし 

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

吉田調書報道、なぜ朝日は誤ったのか 「思い込み」で裏付け取材なし 

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会見中、謝罪した(左から)木村伊量社長、杉浦信之取締役編集担当ら=11日午後、東京・築地(川口良介撮影)  朝日新聞は11日夜の会見で、「吉田調書」をめぐる報道について、関係者への十分な裏付け取材を怠ったことや、“スクープ”の漏洩を意識して担当者を限定し、チェックが甘かったことを原因として挙げた。しかし、最大の問題は、事実を率直に受け止めず、都合の悪い情報は排除するという「思い込み」にある。

 朝日によると、5月20日付の「命令違反」の記事は、吉田調書をもとにしたが、「当時の所員への直接取材を徹底しなかった」とした上で、「所員に指示がうまく伝わらないまま、第2原発への退避が行われたということが把握できなかった」と説明する。

 吉田調書以外に、朝日が「命令違反」の根拠にしたのは「柏崎メモ」といわれるノートだ。

 福島第1原発事故時のテレビ会議映像が柏崎刈羽原発(新潟県)のモニターにもリアルタイムで流れており、それを所員が個人的に記したノートを朝日が独自に入手していた。ノートには、吉田氏の命令として「1F(福島第1原発)の線量の低い所へ待機」と書かれているという。

 しかし、当時の所員は、「線量の低い所」は第1原発になく、吉田氏の命令を第2への退避と受け止めている。そもそも朝日は当時現場にいた所員への裏付け取材を欠いた。杉浦信之取締役編集担当は「取材が極めて不十分だったと考える。所員の声がその時点で聞けなかった」と認める。

 さらに杉浦氏は「非常に秘匿性の高い資料であったため、吉田調書を目に触れる記者の数をすごく限定していた。結果としてチェックが働かなかった」とも説明した。

 吉田調書の記事を書いた記者は署名の数をみると、4、5人程度。中には、福島第1原発事故時から長く一貫して取材に関わり、著書も出しているベテラン記者も含んでいる。

 こうしたベテラン記者らが「思い込み」に捕らわれた。特に吉田氏の「2F(第2原発)に行った方がはるかに正しいと思った」という吉田調書の記載を意図的に外したことがその後の誤報を決定付けており、記者らが「重要な発言ではないと判断した」と認識していたことを朝日自身が明らかにしている。

 批判が寄せられた後の対処も間違った。朝日によると、報道を批判する記事が掲載された後も、記者らが「(朝日の記事は)間違いない」と言い張ったため信頼し、すぐに訂正できなかったという。(「吉田調書」取材班)

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