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余市蒸留所を訪ねて…今も生きる「竹鶴スピリット」 「マッサン」と呼ばれた男、竹鶴正孝の夢

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余市蒸留所を訪ねて…今も生きる「竹鶴スピリット」 「マッサン」と呼ばれた男、竹鶴正孝の夢

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ニッカウヰスキー余市蒸溜所(北海道工場)の正門。国の有形文化財、北海道遺産となっている  北海道余市町は「マッサン」効果のために観光客であふれていた。

 新千歳空港駅から小樽までは快速電車がある。小樽から余市まではJR函館本線に乗り換えるのだが、電車は1時間に1本だけ。それも1両編成で、都会の通勤ラッシュほどではないものの、乗客でいっぱいになる。小樽を出て3駅、20分とちょっとで余市駅に到着する。

 余市駅の改札を出ると正面に、石造りのニッカウヰスキー余市蒸溜所(北海道工場)正門が見える。蒸溜所自体が「北海道遺産」として登録されており、正門を含む事務所棟や大麦麦芽をピート(草炭)で乾燥させるキルン塔など計9棟が国の有形文化財に認定されている。

 キルン塔から「ピート臭」と呼ばれるウイスキー独特の香りが漂ってくる。はす向かいにある蒸溜棟にはポットスチルが並び、担当者が石炭をくべるのを間近で見ることができる。最近のウイスキー蒸溜は蒸気(スチーム)による間接加熱方式が主流だが、余市では、「マッサン」こと、竹鶴政孝氏がスコットランドで学んだ伝統技術を守って石炭の直火による直接加熱方式を堅持している。

 コンピューターによる生産・工程管理といった最新技術を導入しつつ、ウイスキーの味や品質にかかわる部分にはとことんこだわる。そういう「竹鶴スピリット」が生きている。

 正面にある旧事務所棟を抜けると左側に、移築された旧竹鶴邸がある。その先はやはり有形文化財に指定されている第1号貯蔵庫だ。

 貯蔵庫の入り口やポットスチルには、日本酒の酒蔵のように注連縄(しめなわ)が張られている。酒の神様や自然に感謝しつつ、敬虔(けいけん)な気持ちで酒づくりに臨む。これもまたこだわりだ。

 さらに奥に位置するウイスキー博物館では、ウイスキーの歴史や製造工程、政孝氏とリタさんの軌跡を知ることができる。ガイド付きの見学ツアーもあり、ウイスキーの試飲も可能だ。ざっと見学するだけで40分ほど。じっくり見るには1時間半ぐらいは必要だろう。

 マッサンが何を考え、どう行動したか―。今回の記事で描きたかったことだ。蒸溜所のほぼ中心部に建てられている政孝氏の胸像を仰ぎ見ながら、しばし、「マッサンの夢」の世界に酔った。試飲したウイスキーに酔ったのではないことを付言しておきたい。(編集委員 関田伸雄)

 ⇒特設コンテンツ「『マッサン』と呼ばれた男、竹鶴政孝の夢」第三章公開

 ⇒「ニッカウヰスキー80周年サイト」はこちら

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