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中国人留学生「日本人としての誇を」 「グローバル化」求められる人材とは?(下)
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外国人留学生を対象とした合同企業説明会。グローバス化に対応し、企業側は留学生の採用を拡大している=2012年12月8日、東京都千代田区大手町(産経新聞_臼井慎太郎撮影)
討論会で、コミュニケーション能力に次いで多く挙げられたのが、「即戦力」である。
海外企業との競争が激化するなか、企業側のグローバル化は待ったなしだ。社会に出てすぐに最前線で働くには、主体性や行動力、交渉力が求められる。就職活動の中でも、学生時代に主体的に行動していた学生が求められていると実感する学生が多い。
インターンシップを取り入れる企業が増えているのも、即戦力を求めている表れといえる。実際、インターンシップに参加している学生は「大学では学べないマナーなどが身に付けられるメリットは大きい」と話す。
企業側が海外からの留学生を積極的に採用しているのも、同じ理由と思われる。日本人学生に比べ語学力があり、コミュニケーション能力にもたけていることが、即戦力として働ける人材として評価されているのだろう。日本人の学生にとっては厳しい現実だが、学生時代から、「即戦力」となれる能力を養う意識が求められている。
海外で働くことだけが、グローバル化でないという意見も出た。国内外にかかわらず、「志を持って働く人が求められているのでは」という指摘だ。
当然ながら日本も「グローバル」の中に入っている。海外から進出してきた企業や海外の製品に負けないように日本で働くことも立派な「グローバル人材」であるとの意見もあった。
中国から日本へ留学をしている学生は「日本の技術やブランド力は世界から求められている。海外に行っても日本人としての誇りを持って働くことが大切なのでは」と指摘した。
「愛国心が低い」といわれている今の若者が、日本に誇りを持つためにも、まずは日本のことを知る必要があると感じた。
「目的を持った優秀な人材が海外に流出し、日本のために働こうという人が減ってきていると思う。グローバル人材を育てるのは、国のためにならないのではないか」
グローバル化に否定的な意見も出された。
国内市場が伸び悩む中、企業の海外進出に対する意欲は高まるばかりだ。「産業の空洞化」への懸念も強まっている。
帝国データバンクの調査によると、2012年5月時点で、今後2~3年に海外進出を見込んでいる企業は、11年度に比べ1.4倍に上る。その理由として多くの企業が「良質で安価な労働力の確保」に加え、「国内市場の縮小」を挙げている。
国内に踏みとどまっていては生き残れないという企業の危機感は強い。少子高齢化が進み、労働力の確保や国内市場縮小への対応として海外進出が一段と加速すれば、その結果として空洞化が進み、雇用の流出で国内市場がますます縮小するという悪循環にある。高い技術力が海外に流れる懸念もある。
グローバル化は、学生からも「少子高齢化に拍車をかけ、国内産業に不利益になる」といった声が出た。
「グローバル」に対し、「グローカル」という言葉がよく使われるようになった。「グローバル」と「ローカル」を掛け合わせた造語だ。グローバル化の進展によって、世界中が多文化・多民族・多言語・多宗教になってきていることを意味し、そうした細かなニーズに応える必要性が高まっている。日本国内においても地域に根差したサービスが求められるようになっている。
自分が暮らし、働く地域の問題を把握し、その解決に挑戦する。「世界的な視野で考えながら、地域で活動する」人材こそが今の日本に求められているのではないだろうか。