SankeiBiz for mobile

「大企業の役員クラスの頭ではもう無理!」 若手は説得を諦めるしかないのか?

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

「大企業の役員クラスの頭ではもう無理!」 若手は説得を諦めるしかないのか?

更新

 「大企業の役員クラスの頭ではもう無理!今の速い変化に追いつけない。追っているフリをしたって無駄。そこから去れとは言わないけど、邪魔はしてくれるな」

 先週、日本に滞在し何人もの若手や中堅のビジネスパーソンと会って耳にタコができるほどに聞いたセリフだ。ぼくに限らず誰もが聞き飽きている。

 役員クラスの意識変革を期待するだけ時間の浪費。だから引退するのを待ちながら新しい世代が決定権を持つのを応援しよう、との意見も増えてくる。もちろん新しい世代がそれまでに切磋琢磨しないといけない。そこで社内外で新しい動きがあるが、まだ全体的な構図を変化するには至っていないから焦燥感が募る。

 若手は説得を諦めるしかないのか?

 「えるまっぷガールズ」というグループがある。ぼくが仲間と推進しているローカリゼーションマップ(lmap)の女の子版だ。女子高生から20代半ばまでの女性たちが活動している。

 グループは佐野里佳子さんという26歳の女性が運営する Over the Rainbowによって主宰されている。同ブランドは米国で社会問題の解決に立ち向かっている人達の服を買い付け、元持ち主のストーリーをつけてヴィンテージファッションとして売っている。

 「すてき!」と呟いて服を買った子たちは、服と一緒になったストーリーを読み、「ああ、こういう社会とのかかわりがあるんだ!」と知り、当事者意識や自分なりの社会参加意欲が芽生える。これが狙いだ。

 そうしたお客さんたちのコミュニティには約2千人のメンバーがいる。同社では彼女達が社会を変えるプロジェクトを実施する際にソーシャル投資をしている。資金、スキル、アドバイス、PR力の提供だ。

 昨秋、その一部のメンバーから「えるまっぷガールズ」が生まれた。

 「十和田の裂織を世界で伝統継承」や「恋愛や結婚の価値観を広めたい」など5つのテーマをリサーチしている。例えば恋愛研究家ガールズは、恋愛、仕事、結婚の選択肢がもっと自由に選べるようになれば女性の幸せは増すはずだ、と考える。

 恋愛自由度の高い国を「恋愛先進国」とし、その反対が「恋愛発展途上国」。中東、アジア、欧州、米、アフリカ、南米から6か国を選びネットや文献の調査あるいは大使館にインタビューを重ねている。

 ぼくは彼女たちの中間発表を聞いた。その視点と切り込み方が大胆でとても興味深かった。言葉の定義やカテゴリー軸の設定に改善点はあるが、何かを飛び越えるには、この突込みが大切なんだと思わせるに十分の説得力がある。

 「嫁ぐならベネズエラ!」など、なかなか簡単には出てこない結論を彼女たちは出してくる。

 ベネズエラは専業主婦にも政府から「職業」として給付金が出るなどを調べてきたのは、大学生の木村カンナさん、小池希実さん、高校生の森川絢瑛さんの3人だった。森川さんは「専業主婦を誇りにして生きられる、というのが夢なんです。だからベネズエラに行ってみたいです」と嬉々と語る。

 ぼくは前々からビジネスパーソンの語り口で気になることがあった。それは「うちの娘をみていると、最近の大学生ってこういう考え方をするんだね」というたぐいのセリフだ。普段つきあいのない世代の声の代表として自分の子供たちがベンチマークになる。そうだからか、あるいはそれでいながら親子のコミュニケーションに悩んでいる親が多い。

 ここに冒頭に述べた問題の突破口へのヒントがないか、と思う。

 まだアイデア段階であるが、「えるまっぷガールズ」が父親たち、決裁書にハンコを押す人達が一緒になって企業のグローバル戦略をたてるワークショップをやったらどうか、とぼくは考えている。娘がパパのグローバル戦略に示唆を与えるわけだ。

 「そんな甘っちょろい発想でどうするんだ!」と一蹴している部下たちが日々あげてくる提案書の内容が、実は自分の娘のセリフと非常に近いと気づいた時、もうちょっと部下の話を謙虚に聞こうとするのではないか。

 家庭のコミュニケーションギャップとビジネス現場の問題の根が同じであることに察知した時、クルマの両輪が回り始めるはずだ。 

 因みに、「十和田の裂織を世界で伝統継承」は2月24日ー25日、イタリアでワークショップを開催する。参加者の募集をかけたらあっという間に満員御礼になった。

ランキング