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外国人観光客誘致のコツ 日本に呼び寄せるにはどうすれば?
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「日本文化によほど熱心か、ビジネスがあるか。どちらにもあてはまらない普通の欧州人は日本に来ないわね」
先月、築地の寿司屋のカウンターでイタリア人女性が吐露したセリフだ。「日本に来る外国人を増やすにどうすればいいと思う?」とのぼくの質問へのコメント。彼女は仕事のために東京に短期滞在中だ。ずいぶんと外国滞在経験がある柔軟な女性だが答えは思いのほか日本に冷淡だった。
そして「5人以上の韓国人ビジネスマンと別々に会ったけど、『我々は日本を抜いた』ってそれぞれが言っている。日本の人はどう思っているの?」と聞いてくる。
「少なくても外国人観光客の数は韓国の方が多いね」とぼくは答える。
彼女は日本滞在をとても満喫しているようだが、日々の日本人とのつきあいで少々疲れている様子が窺える。「これを言えば、こういう反応がくるだろう」と思うと、そうこない。どこの国でも独自のロジックがあるが、日本の社会にあるロジック説明の曖昧さが気になるようだ。
日本のことを大好きになってくれればもちろん嬉しいが、何よりもガッカリすることが少ないと良いな、とは思う。マイナスを背負い込み過ぎるとロクなことにならない。
その翌週、あるセミナーの講師としてグローバルに進出する際の心構えについて話した際、参加者から次のような質問をうけた。
「ある市場で成功するにはローカルの人に任し切るのが良いということですが、その見極めのポイントは?」
ぼくはこう答えた。
「自分が分からないということを分かることです。ぼく自身を顧みると、その国のことが『分からない』と自覚するには最低7-8年、その土地でのビジネス経験が必要だと思います」
そのうえで、こう付け加えた。
「ざわついたレストランでちょっと離れたテーブルで話しているイタリア人同士の会話の内容が、何気なく言葉として耳に入ってくるかどうか。自身の言葉の才能のなさを晒すようですが、ぼくは自信ないです。日本語ならこっちが別の会話に集中していても、向こうのテーブルの噂話がキーワードや声の調子で自然と分かるんですけどね。この例のように、外国語の場合は受け取れる情報の量に圧倒的な差があるわけです」
こういう経験からだけでも、お客さんのフォローは現地の人に任すのがいいと痛切に思うわけだ。オフィスのミーティングテーブルで向き合っているだけではなかなか実感しづらい「敗北感」である。
どこまでなら分かり、どこから白旗をあげるか。努力することや好奇心を持ち続けるのをやめるべきではないが、「これ以上の深追いは趣味の領域」と見切ることもビジネスでは大切だ。
外国文化の中で生きる、あるいは外国語を介したコミュニケーションがベースとなる世界で行動するには100%分かりあえると確信をもてる領域にアンカーをなるべく早くおろし、そこからじょじょに範囲を広げていく。
「外国語の本は自分のよく知っているエリアから読み始めろ」というアドバイがあるが、それも確信のもてる点からスタートという趣旨からくる。
一挙に領域を広げることができれば良いが、ある程度の時間なしには達成できない。前述した7-8年は、この期間だ。それも、ある「沸騰点」に至ると、その後の拡大には大きな壁がある。
精神論で頑張るだけでなく「見切りをつけろ」と言う背景はここにある。逆に2-3年の滞在期間で不十分なのは学習曲線が右肩上がりの期間だけで「挫折の量」が少な過ぎるからだ。
もちろん、見切りをつけるには「この人なら任せることができる」との目星をつけないといけない。だからこそ、どんな文化圏にいても比較的共通の判断基準が通じやすい論理的表現力と人間力の勝負になってくるのだ。
あまり論理的な理解で苦労させないことが外国人観光客誘致のコツかもしれない。