ニュースカテゴリ:暮らし
仕事・キャリア
「ぶっ飛んだことをやったもん勝ち」 T.M.Revolutionの西川貴教
更新
さまざまな仲間とのつながりの意識を反映させたセルフカバーアルバムを発売したT.M.Revolutionの西川貴教さん=東京都内(栗橋隆悦撮影) 西川貴教(42)のソロプロジェクト、T.M.Revolutionが、デビューから16年目に際して、その思いを新たにしている。7年ぶりとなるセルフカバーアルバム第2弾「UNDER:COVER 2」(27日発売)は、東日本大震災を乗り越えて「自分は一人ではない。つながりを持つことで自分が存在する」と改めて認識した西川の気持ちが反映された作品となった。
「人付き合いが得意でなかったのに、あっという間にたくさんの人とのつながりができたんですよね」
今回のアルバムに名を連ねたのは、布袋寅泰(51)やビジュアル系ロックバンドのthe GazettEらがゲスト参加したほか、アレンジを担当した浅倉大介(45)やヒップホップグループのHOME MADE家族らバラエティー豊かな面々。
「自分の感覚的には下っ端な気持ち」がずっとあったというが、ある程度のキャリアを重ねたころから、「小さい頃に自分の曲を聴いたりテレビで見てたりしていた子たちがもう自分たちと同じ土俵に上ってきている」状況になってきた。
共演などをきっかけに、「一緒に音を出したり、新たなクリエーションにつながったり」と輪は広がっていった。
そのことを改めて大きく感じたのは東日本大震災後だ。チャリティーを立ち上げたところ、「仲間が応援し、支えてくれる。みんなが協力してくれる」ことを実感。人とのつながりや、そのつながりの中にいる自分を感じる機会が多かったことをつとに感じたという。
布袋とも震災直後に新潟で行われたイベントで同席。それ以前からお互いに見知りはしていたものの、このときに初めて深く話をしたことで、今回のアルバムに「蒼い霹靂」のギタリストとしてゲスト参加してもらうことにつながった。
セルフカバーアルバムは、2006年の第1弾と同様、ライブでのアレンジをベースに楽曲を再構築した。
「CDは、その後のライブなどを楽しむためのガイドというイメージもある」といい、その心は「バンドアレンジや聴衆の声、反応みたいなものが入って初めて楽曲が完成する」という思いだ。
実際にはライブで楽しむのが一番だが「どうしても来られない方もいるし、ライブを聴いた後でCDを聴いた際に感じる差を埋める作品づくり」ともなっている。
東日本大震災に加え、当初目指していた、T.M.Revolution人気の高いアジア各地での発売が、一部の国と日本の関係悪化などが影響したことなどから、アルバムの発売が延期に。結果的に時間をかけて丁寧に作りこむことができた。
西川は「今後のT.M.Revolutionに新たなエッセンスや期待感を持ってもらえる作品」と自己評価。原曲の発売から時間が経過し、「きちんと楽曲を見つめ直し、当時は伝えきれなかった部分を入れ込むことで、曲が昇華した」とも表現した。
選曲は第1弾と同じくファンからのリクエストで決めたが、ここ何年もライブのセットリストにない曲に人気が集まるなど、意外な結果に、「ファンにとっては大事な曲なんだなと思わされた」という。15曲目の「Tomorrow Meets Resistance」はそんな一曲。1997年発売の2ndアルバムの収録曲だ。
西川は、自分のソロプロジェクトとしてのT.M.Revolutionの在り方について迷っていた時期もあった。
だが、バンドを組むなど、ソロ以外のアウトプットを作ったことで、「自分の中で何をすべきかはっきりした」という。
T.M.Revolutionについて西川が出した答えは「単純に楽しくしてくれるものであり、元気にしてくれるもの」。T.M.Revolutionを一つのキャラクターとすることで、舞台を演じたり、文化庁の仕事を請け負う西川個人とのすみ分けがきちんとできたからだ。
そのキャラクターを最大限に楽しんでいるのが、第1弾に続いて挑戦した女装でのジャケット写真だ。「女性ポップアイコンも意識した」というその写真は、見るだけでも楽しめる。
事務所社長も務める西川は昨今、音楽業界を取り巻く環境が激変していることを挙げ、「閉塞感を創作活動に持ち込むと、失速するような気もする」と自戒を込め、「だからこそぶっ飛んだことをやったもん勝ちかなとも思う。バカバカしくても、勢いが必要なこともある。われわれのような者がそれを見せていくしかない」と力強く結んだ。これからも、熱く疾走するT.M.Revolutionであり続ける。(兼松康)