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お化け番組「探偵!ナイトスクープ」 放送作家が語る人気の秘訣
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「テレビが面白くなくなった」と言われて久しい。だが、大阪には在阪テレビ局が制作して大ヒットした番組がいくつもある。
そのひとつ、平均視聴率20%というお化け番組「探偵! ナイトスクープ」(ABCテレビ系)の構成を25年務める作家、百田尚樹さんは、人気番組を作り出す秘訣は「タレント頼みでなく企画こそ命」と言い切る。
このほど、在阪局の制作担当者を前に講演した百田さんは、「紳助さんも上岡龍太郎さんもいなくても、企画さえよければ視聴率は取れる」と訴えた。
百田さんは同志社大学在学中から人気バラエティー番組「ラブアタック!」に常連として出場、学生の間ではよく知られた存在だった。大学中退後は、放送作家となり、昭和63年の番組開始当初から「探偵! ナイトスクープ」の構成を担当している。
1月、大阪市内で、BPO(放送倫理・番組向上機構)青少年委員会からの依頼で、「大阪の番組作りの秘密」と題して同委員や在阪テレビ局の制作担当者を前に講演。百田さんがまず口にしたのが、在阪テレビ局が抱える共通の悩み、「お金がない」ことだった。
「大阪のテレビ局はお金がない。在京局と予算が1桁違う中で対抗しないといけないのです」。だが、それは必然的にアイデア勝負になる、という。「例えば、演出方法。今では当たり前になった、セリフを字幕にして画面に出す方法。あれは『ナイトスクープ』が最初だと思います」。
「テレビは企画が命」と言う百田さん。ところがここ15年ほど、日本全体が、企画よりタレントの力を借りた番組が多くなったと嘆く。「企画会議では『どういう企画か』よりも『どのタレントをブッキングできるか』が優先することもある。大物タレントを抱える制作プロダクションが『この時間帯をくれたら、このタレントを出す』と局側に言うと、企画もない状態でもOKを出しているんです」。
大阪も同様の流れが漂う。タレントを組み合わせるだけで、楽屋トークを延々しゃべらせて、面白い場面をつまんで流す。「タレントによりかかってばかりで、モノを作る姿勢がどんどん抜けていくような気がして悲しかった」。
ところが一昨年、日本一視聴率をとるといわれた島田紳助さんの引退を機に、転機が訪れた。
紳助さんで成り立ったと思われた番組が実はそうではなかったことに、テレビ関係者が気づき始めたのだという。
実際、テレビ大阪系「開運!なんでも鑑定団」8~9%、読売系「行列ができる法律相談所」は16%と、引退前後で番組視聴率はほとんど変わらない。一昨年亡くなった児玉清さんが司会を務めていた、ABC系「アタック25」も同様だ。
「実は『ナイトスクープ』も放送から11年目に、“局長”の上岡龍太郎さんがおやめになって、ダメになると僕らも視聴者も思っていたが、数字は落ちなかった。いい企画、優れた番組はタレントに関係しないんです」。
百田さんがもっとも「面白い番組」と思うのは、家族そろって見る番組だという。
「本当に面白い番組は1人で見るより、仲の良い友人や家族で見る方が楽しい。昭和30~40年代の文化人は『テレビが茶の間を奪った』と言っていたが、逆です。テレビはバラバラになった家族を茶の間に引き寄せられる。テレビ制作者は今一度そうした努力をしてほしい。もちろん『ナイトスクープ』も、子供からお年寄りまで一緒に見られる番組作りを心がけたい」と話した。(豊田昌継)