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「103万円の壁」超えても世帯収入は増加 配偶者控除を理解する
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妻の年収と世帯影響 見直し議論が本格化している配偶者控除。「夫が会社員、妻が専業主婦やパート勤務」といった世帯で夫の所得税が軽くなる制度で、妻の年収が103万円以下で対象となる。年収がさらに増えると妻に所得税負担などが生じるが、配偶者特別控除があるため、130万円未満までは世帯収入は増える傾向に。制度の概要をまとめた。(竹岡伸晃)
東京都内の大型店でパートタイムの販売員として勤務する主婦(44)。子供の教育費などを補うため、週4回程度は売り場に立つが、年収が103万円以下となるよう勤務時間を調節している。「あまり忙しくない時期を選んでシフトに入るのを減らしている。周囲にも配偶者控除を意識して働く同僚がいる」
会社員などの給与所得者の所得税額は年収から、(1)給与所得控除(2)所得控除-などを差し引いた課税所得に税率をかけたものだ。
(1)は「みなし経費」で年収によって自動的に決まり、最低額は65万円。(2)は一律に差し引かれる基礎控除(38万円)のほか、生活状況に応じた医療費控除、扶養控除などがある。配偶者控除(38万円)は所得控除の一つだ。生活総合情報サイト「All About」でガイドを務める田中卓也税理士は「配偶者がいる納税者に一定の配慮をするための制度」と説明する。
配偶者控除は妻(配偶者)の所得が38万円以下の場合に適用できる。年収で見ると、38万円に給与所得控除の65万円を加えた103万円で、これがいわゆる「103万円の壁」。ただ、田中税理士は「夫婦の世帯収入で考えた場合、103万円はあまり意識する必要はない」と説明する。
その理由は-。
妻の年収からの控除が給与所得控除と基礎控除のみの場合。収入が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると控除後に課税所得が残るため、所得税もかかる。一方、夫は配偶者特別控除が受けられる。「夫の合計所得が1千万円以下」という条件があるが、妻の年収が103万円超~141万円未満の場合に38万~3万円の範囲で段階的に差し引かれる。
妻は税負担増となり、夫も控除額が減るため、所得税が増えるが、妻の年収増加分がそれらのマイナスを上回る。『夫の年収=500万円・課税所得の税率=5%・住民税の税率=10%・所得税と住民税の控除額の差異や復興特別所得税は考慮しない』という条件で、妻の年収が「102万円→112万円」に増えたケースで試算すると、「世帯収入は7万6千円増」という結果となった。
ただし、妻の年収が130万円以上になると状況が変わる。夫の扶養を外れるため、妻自身が年金や健康保険の保険料といった社会保険料を負担する必要があり、世帯収入が大きく落ち込む。大手シンクタンク、大和総研(東京都江東区)の試算では、年収が129万円から130万円になると世帯の手取りは約16万円減り、年収が155万まで増加してようやく落ち込み分が解消されるという。
このほか、妻の年収が103万円を超えると、給与の一部として支給する夫の「家族手当」などを減額する企業もあるため、注意が必要だ。
田中税理士は「加入する社会保険により保険料の負担は異なる。世帯収入に目を配りつつ、130万円を超える場合は大幅な収入増を目指した方がいい」とアドバイスしている。