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「女性センター」男性もどうぞ 先駆的セミナー開催、新たな役割模索
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ドーンセンターで開かれた講座「心が折れない男の生き方」。仕事帰りの男性たちが多く参加した=平成23年10月、大阪市中央区のドーンセンター 女性の地位向上や問題解決に向け、相談や学習の場を提供してきた全国の「女性センター」。近年は男性の育児・介護や起業などの講座も開催し、新規利用を促している。自治体の財政難で厳しい運営を迫られる中、幅広い層を取り込むことで新たな役割を模索する。(横山由紀子)
女性センターは自治体が設置している女性のための総合施設で、男女共同参画センターなどの名称もある。国立女性教育会館(埼玉県嵐山町)によると、全国に婦人会館なども含めて386館ある。「国連婦人の10年」(1976~85年)などをきっかけに、女性の地位向上を求める機運が高まり、平成に入って開設が相次いだ。
だが、この10年ほどは、自治体の補助金が削減されるなど財政基盤が悪化。苦しい運営を迫られるセンターは多い。
今月、開館20周年を迎えた大阪市中央区のドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)。講座やカウンセリング、研修などを通して、女性問題に取り組んでいる。関連書籍や行政資料、ミニコミ誌まで約11万点をそろえた専門図書館も開設。ピーク時の平成8年度には年間約51万人が訪れた。
講座や研修などセンターの事業を管理運営している府男女共同参画推進財団は6年前、府の財政状況悪化を理由に廃止案が打ち出された。なんとか廃止は免れたものの、補助金は全面カット。規模を縮小しながら自立の道を探ったが、「女性の起業」「NPO法人設立」といった長期講座の打ち切りを余儀なくされた。
そこで財団は、「1回きりでも先駆的なセミナーを打ち上げよう」と発想を転換。21年度に男性介護者の講座を開催したところ、定員の倍を超える申し込みがあった。
「心が折れない男の生き方」「育児も仕事も楽しむ男性版多角的人生のススメ」。その後も男性向けやネット社会の闇を考える講座などを開催。反響は大きく、利用者数の大幅な増加とはいかないまでも、これまでセンターに足を踏み入れたことのなかった層の呼び込みに成功したという。
財団理事で統括ディレクターの仁科あゆ美さんは「社会の動向や課題をいち早くキャッチし、人々の心に響く講座を打ち上げて、さまざまな層の人々を取り込みたい」と話す。
ドーンセンターのように新たな試みに取り組むセンターはほかにもある。大阪府立大学女性学研究センター長の伊田久美子教授(ジェンダー論)は「長期的な方針は打ち出しにくくなったが、幅広い層を取り込もうという動きが出てきている」と指摘する。
東京都大田区の区立男女平等推進センター「エセナおおた」は、「リタイヤ後を10倍楽しく!今から準備する男の教養講座」「ママと子どもの園デビューを応援します!」といったユニークな講座を開講。希望者が多く抽選となっている。もりおか女性センター(盛岡市)では、農作物の加工業を起業するための講座や、孫育てに関心のある祖父母を対象にした講座などが人気を呼び、ホームページの講座欄には「満員御礼」の文字が躍る。
大阪市立男女共同参画センター(クレオ大阪)では、16年度から2000件以上の男性の悩み相談を受けてきた。今月23日には「第1回全国男性相談研修会」を開催するという。
伊田教授は、「女性の支援は重要な役割だが、女性センターは性別や年齢を超えてさまざまな人々の居場所となるのではないか」と話している。