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【ベトナム点景】日本が失った“熱気”伝えたい ベトナム旅行会社で「充実の3年目」

ニュースカテゴリ:暮らしの余暇

【ベトナム点景】日本が失った“熱気”伝えたい ベトナム旅行会社で「充実の3年目」

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雑貨店が集まる旧市街で日本人観光客らにイラストマップを配るTNK&APTトラベルJAPANの大西将人さん(左)=ベトナムのハノイ  観光やビジネスでベトナムを訪れる日本人は年々増えており、2013年は過去最高の約60万人を記録した。親日の国民性などが好まれ、中国に代わる投資先や労働力として注目されている。ハノイ、ホーチミンの2大都市を中心にベトナムを訪れた。

 「イラストマップでーす」。雑貨店が軒を連ねるハノイの旧市街を歩いていると突然日本語で話し掛けられた。ふくよかな体形に斜め掛けのバッグ。驚いたが危ない人ではなさそうだ。受け取った地図にはかわいいイラストとともに雑然とした旧市街が日本語で分かりやすく紹介されている。

 TNK&APTトラベルJAPANの大西将人さん(25)だ。首から名刺を提げている。往復の飛行機と宿泊ホテルだけを予約してベトナムに来たフリープランの観光客らを対象にオプショナルツアーを実施している。地図を渡したことがきっかけで話し込み、ハノイの見所を駆け足で巡る半日ツアーなどに参加する人も多いそうだ。

 10年ほど前にベトナム人と日本人が共同で興した旅行会社で、ハノイのほかホーチミンとホイアンに支店があり、カンボジアでも事業を展開する。大西さんは都内の大学を卒業し入社3年目。在学中に大手企業から内定をもらっていたが、インターンシップで就業したTNK&APTトラベルにそのまま就職した。「ベトナムの熱気を日本に伝えていきたかった」と振り返る。

 大学のゼミでベトナムコーヒーを研究対象にした。「ブラジルに並ぶコーヒーの生産国なのにあまり知られていない。農業従事者には利益の0.03%しか入らないことにも衝撃を受けた」という。

 大学3年のときに日本語教師のボランティアとしてベトナムを初めて訪れた。10日ほどだったが「貧しい国」の予想に反し、日本の高度経済成長期のようにあちこちで工事が行われ、バイクがビュンビュンと行き交う様子に「成長の勢い」「人の熱気」「活発さ」を実感した。漠然と「この国とかかわる仕事をしたい」と思った。

 翌年にはホーチミン市経済大学で3カ月の短期留学。外国人は大西さん1人だった。「学生たちの知的好奇心に感激した。僕の拙い英語のあいさつを真剣に聞き、ノートをとり、約90人いた教室の全員が僕に質問するために手を挙げた。ケータイをいじったり、退出する学生はひとりもいなかった」。ベトナムのために働きたいという思いは日に日に強くなっていった。

 大西さんは「学生の旅行者に接する機会が多いが、現地の熱気に触れて僕と同じ感覚をもってほしい」と訴え、「レストランやホテルなど日本人スタッフを必要としているところは多い。インターンの斡旋もしているので日本では味わえない体験をする手伝いをしたい」と抱負を語る。「学生には外に出てほしい。できればベトナムを選んでほしい」とも。

 2013年にベトナムを訪れた日本人の数が過去最高の約60万人を記録。会社に20人ほどいる22~26歳の日本人スタッフの経歴は十人十色という。

 大西さんの案内で「チュングエン・コーヒー(Trung Nguyen Coffee)」というベトナム資本のしゃれたチェーン店に入る。「ここはコーヒー豆の価値を上げている企業です」。コーヒーを飲みながらうれしそうに語る。仕事も充実。大好きなベトナムの成長をじっくりと味わっているようだ。(産経デジタル 長浜明宏)

 取材協力:ベトナム航空

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