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くすぶる不満 中国、炎の天安門 車突っ込み5人死亡、邦人含む38人負傷

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くすぶる不満 中国、炎の天安門 車突っ込み5人死亡、邦人含む38人負傷

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 中国国営新華社通信などによると、北京市中心部の天安門広場前で10月28日正午(日本時間午後1時)過ぎ、四輪駆動車が群衆に突っ込んだ後、炎上し車内にいた3人を含む計5人が死亡、観光客や警官ら38人が重軽傷を負った。北京の日本大使館によると、30代の日本人男性1人が口などにケガをして病院に運ばれたが、命に別条はないという。現場は毛沢東元主席(1893~1976年)の大きな肖像画が掲げられた天安門の目前。中国メディアは「事故」と報じているが、車が通常進入できる場所ではなく、政治や社会に不満を持つ人物が意図的に起こした抗議活動の可能性が強いとみられる。

 現場封鎖、写真削除…

 炎上した車は、広場前のメーンストリート・長安街を東から西へ走ってきて歩道に入り込み、突進。毛元主席の肖像画のほぼ下に位置する金水橋の柵に衝突して炎上した。火はすぐに消し止められたが、車内で死亡した3人の身元は分かっていない。歩道にいて車にひかれて死亡した2人は、中国人とフィリピン人の観光客という。

 事件後、周辺は一時騒然となり、武装警察が直ちに現場を封鎖。長安街や最寄り駅の地下鉄1号線・天安門東駅の出入り口も封鎖された。救急車や消防車も出動し、負傷者の救護を続け、居合わせた観光客らが携帯電話で撮影した写真をインターネット上に掲載したが、当局が規制を強化したとみられ、次々に写真が削除された。

 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には、車両にひかれたとみられる男女の写真が一時掲載され、男性は下を向いて嘔吐し、女性は片手で顔を覆っていた。女性の隣には、欧米からの外国人客とみられる男性が不安そうな表情を浮かべ、女性の肩に手を差し伸べていた。

 相次ぐ「無差別型」事件

 1976年と89年の2度にわたり、大規模抗議行動が起きた天安門広場とその周辺は、中国当局にとって政治的に最も敏感な場所の一つといえる。普段から大勢の警官が目を光らせているほか、大量の警察車両が配置されており、一般車両が歩道に乗り入れることはまずあり得ず、車はかなりのスピードで意図的に進入した可能性が高い。

 習近平政権は元鉄道相に死刑判決を下すなど、厳罰による汚職撲滅を掲げ、国民の不満の矛先を当局からそらそうと躍起になっている。しかし、今年7月には、北京国際空港で治安要員に殴られて障害を負った男が爆発物を起爆させるなど「無差別型」事件が相次いでおり、当局は不測の事態に神経をとがらせている。

 共産主義を掲げながら、貧富の差は拡大する一方で、四川省成都の研究機関は昨年、中国の所得格差の程度を示すジニ係数(1に近いほど不平等)が2010年に0.61となり、社会が不安定となる警戒ラインとされる0.4を大きく超えたとの調査結果を発表した。現在、世界中で0.6を超している国は中国以外では、ボツワナ、シエラレオネ、中央アフリカ、ボリビアなど一部のアフリカ、中南米諸国だけであり、0.61とは、中国では社会の不満が爆発する寸前であることを物語る超異常な数字といえる。

 中国当局が最も懸念しているのは、今回の事件に触発された模倣犯が増加し、やがて国民の不満が「燎原(りょうげん)の火」のごとく炎上する事態である。(SANKEI EXPRESS

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