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米盗聴疑惑 底なしの様相 「標的」同盟国反発 収拾案は見えず

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米盗聴疑惑 底なしの様相 「標的」同盟国反発 収拾案は見えず

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 主要国の首脳らを狙ったとされる米国家安全保障局(NSA)の通信傍受疑惑が底なしの様相を呈してきた。安全保障上の観点から、スパイ活動を放棄できない米国では情報機関の秘密活動に歯止めをかける難しさも浮上。オバマ政権はドイツなど一部同盟国が反発する事態を収拾する妙案を見いだせていない。

 非ファイブ・アイズ

 米国は長年、通信傍受を重視してきた。第二次大戦では、米英両国が日本やドイツの暗号解読に成功したことが勝敗を左右したともいわれる。2001年の中枢同時テロ後は、捜査機関の権限を強化した「愛国者法」を根拠にNSAの活動を強化させた。

 オバマ大統領はブッシュ前大統領が始めたアフガニスタン、イラクの「2つの戦争」終結に取り組むと同時に、大規模テロの再発防止を重視。通信傍受をその重要な手段と見なし、11年に愛国者法の盗聴条項を延長してNSAの活動にお墨付きを与えてきた。

 米国は英国のほか、カナダ、オーストラリアなどアングロサクソン系計5カ国の情報協力協定に基づき、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる国際通信盗聴網を構築する一方で“身内”に対する盗聴は原則禁じている。

 しかし、ドイツやフランス、日本などとは同様の取り決めがなく、同盟国でありながら情報収集の「標的」になっているのが実態。携帯電話の通話を傍受されていると報じられたドイツのメルケル首相は、こうした差別待遇を背景に「重大な信義違反」と米政府を非難した。

 これに対し、米上院のファインスタイン情報特別委員長(民主党)は「オバマ大統領はメルケル首相への盗聴を知らなかった」との声明を発表。情報機関への監督を強化すると約束することで早期収拾を図ろうとする政権側を擁護した。

 「これからも続ける」

 しかし、政権中枢の関与を疑わない情報機関側の不満は高まりつつある。ロサンゼルス・タイムズ紙は当局者の話として「外国首脳へのスパイ活動の内容はホワイトハウスに報告してきた」と伝えた。大統領や側近が知らされないはずがないという見方だ。

 情報収集の対象から重要同盟国の首脳を外すなど情報機関に対する規制を強めるのか。あるいは英国のような緊密な協力国を拡大するのか。改革の方向性を決めるのも容易ではない。

 09~10年に国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏はワシントン・ポスト紙に対し、長官在職中にフランスを「ファイブ・アイズ」に加えるよう画策したが、ホワイトハウスの反対で実現しなかったと語った。

 オバマ氏は一連の疑惑を受け、同盟国首脳への盗聴中止を指示したとされるが「首脳ではなくナンバー2ならいいのか。補佐官や秘書は?」(元情報当局者)との疑問の声はくすぶる。

 クラッパー国家情報長官は先月(10月)末の下院公聴会で、同盟国を含む外国首脳を対象にした情報収集活動を「これからも続ける」と断言。政府としての対応の難しさをうかがわせた。(ワシントン 共同/SANKEI EXPRESS

 ≪「日本も対象、経済的優位狙う」≫

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11月2日、米国家安全保障局(NSA)による情報収集活動をめぐり、NSAの主な海外活動拠点には英国、オーストラリア、韓国のほかに、日本が含まれていると報じた。

 活動拠点としては米軍基地や在外公館などを例示したが、これら4カ国での活動内容は記されていない。監視対象として日本に触れたものの、具体的な内容は言及されていない。

 オバマ米政権は盗聴などの目的を「テロ対策」と釈明している。しかし記事はNSAが「敵と同時に友も日常的にスパイしている」とし、「フランスやドイツのような同盟国への外交的優位」「日本やブラジルへの経済的優位」の達成も目的だと結論付けた。

 記事は、中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者から入手した機密文書に基づいているという。NSAの要請により、詳細な記述を控えた部分があるとしている。

 情報収集の対象地域としてはアフガニスタン、イラン、イラク、ベネズエラ、コロンビア、インドネシア、ソマリア、ナイジェリアなどを挙げ、これらの国での秘密情報活動については記事で詳述されている。(ニューヨーク 共同/SANKEI EXPRESS

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